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3月末時点の砂糖生産量、前年同期比で大幅に増加(インド)

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最終更新日:2021年4月20日

 インド製糖協会(ISMA)は4月1日、同国の砂糖生産概況を公表した。2020/21年度(10月〜翌9月)の砂糖生産量は、3月末時点で2775万7000トン(精製糖換算、前年同期比19.1%増)と、大幅に増加した(図1)。この要因としては、同国の主要砂糖生産地であるマハラシュトラ州の生産量が前年同期の約1.7倍である1004万7000トンと大幅な増産となったことが挙げられる(図2)。同州では、2019/20年度に一部地域で豪雨に伴う圃場(ほじょう)の浸水被害が発生した一方で、その他の地域では干ばつによるサトウキビの生育不良が発生して砂糖生産量が大幅に減少した。しかし、2020/21年度は大きな天候不順がなく、さらに、3月末時点のサトウキビ圧搾量は、2017/18年度の過去最高記録を上回る9610万トンに達している。

 ISMAは、同州の2020/21年度の圧搾状況を2017/18年度と比較した場合、砂糖生産量の伸び率はサトウキビ圧搾量の伸び率よりも小さくなっているが、これは、(1)2020/21年度の砂糖回収率が低かったこと、(2)2018/19年度以降、インド政府が、サトウキビ圧搾汁と砂糖残留濃度の高い糖みつをバイオエタノールの原料として新たに認めたことにより、それらの一部の仕向けが変更されたこと―が要因であるとみている。
図1
図2
 また、インド政府は2月28日、2月末における製糖業者によるサトウキビ農家への代金未払が前年同期よりも19.3%多い2290億ルピー(約3824億円)に上っていることを公表した。ISMAはこの要因として、ここ数カ月間で砂糖の工場出荷価格が下落し、製糖業者の収支が悪化したことが関係していると分析している。ISMAは、サトウキビ農家と製糖工場は政府に対してMSP(製糖工場が卸売会社などに砂糖を販売する際の最低価格)の早期引き上げを期待しているとし、現況が続けば、未払金は危機的な規模にまで膨れ上がる恐れがあるとしている。

 ISMAは同国における砂糖の輸出状況にも言及しており、政府による2020/21年度の砂糖の輸出促進政策(注2)の発表が例年より遅い2020年12月に行われたにも関わらず、すでに前年度の輸出量560万トンの約8割に相当する450〜460万トン分の輸出契約が締結されたとしている。ISMAは、砂糖の主要輸出国であるブラジル中南部地域での圧搾開始の遅延の報道を受け、今後1〜2カ月のうちに間隙を縫うかたちで、インドの砂糖輸出先の拡大が見込めるのではないかと予測している。


(注1)為替レートは1インドルピー=1.67円(2021年3月末日TTS相場>)を使用した。
(注2)輸出量600万トンを上限に1トン当たり5833ルピー(9741円)、予算総額で約3500万ルピー(5845万円)の補助金が交付される。
【塩原 百合子 令和3年4月20日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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