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2020/21年度主要穀物の生産状況等の調査結果(第11回)を公表(ブラジル)

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 ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)は8月10日、2020/21年度第11回目となる主要穀物の生産状況等調査結果を公表した(表、図1、2)。この調査は、春播きの夏作物(大豆、第1期作トウモロコシなど)や秋播きの冬作物(第2期作・第3期作トウモロコシ、小麦、大麦、ライ麦など)の生産予測値を毎月公表するものである。

トウモロコシ生産量、4カ月連続の下方修正で9000万トンを下回る見込み

 2020/21年度(第1〜第3期作)のトウモロコシ生産量は、前回公表から673万4500トン減と4カ月連続で下方修正(4月予測値から2231万5500トン減少)され、前年度比15.5%減の8665万100トンと前年度をかなり大きく下回ると見込まれている。国内外からの強い需要と堅調な市場価格を背景に全体の作付面積は前年度比7.0%増とかなりの程度上回る一方、第2、第3期作において不規則な天候の影響により前回公表に続き単収見込が同21.1%減と前年度を大幅に下回ったためである。
 生産量全体の約3割を占める第1期作は6月に収穫が終了しており、同3.1%減の2489万8200トンと前年度をやや下回ると見込まれている。
 約7割を占める第2期作は、現在、主要生産地で収穫作業が行われている。作付面積は同8.1%増と前年度を上回ったものの、主要生産地での降水量不足や中南部での霜や低温の影響により単収が同25.7%減と前年度を大幅に下回っている。このため生産量は前回の公表に続き下方修正され、同19.6%減の6032万2000トンと前年度を大幅に下回ると見込まれている。主要生産地の一つである中西部のマットグロッソドスル州では、3〜5月の極度の降水量不足に続き、6〜7月に霜が発生したため、作付面積の約69%の地域で作物に被害が発生するとともに低温気候の影響で収穫作業に遅れがでている。ただし、最大の生産地である中西部のマットグロッソ州の生産量は、同4.4%減と他の主産地と比べて減少幅が小さい。
 また、生産量全体の2%程度を占める第3期作は、主要生産地において現在生育中である。作付面積は同8.5%増と前年度を上回ったものの、主要生産地での降水量不足などの影響により単収見込が同25.5%減と前年度を大幅に下回っている。このため生産量は3カ月連続で下方修正され、同22.4%減の143万100トンと前年度を大幅に下回ると見込まれている。主要生産地の一つである北東部のセルジッペ州では、降水量不足や不規則な降雨の影響が作物の生育に影響を及ぼしており、一部の地域では、降水量が少ないことからサイレージとして刈り取りが行われている。

大豆生産量、すべての生産地域で前年度を上回る

 2020/21年度の大豆生産量は前回より6万6600トン増とわずかに上方修正され、前年度比8.9%増の1億3597万8300トンと前年度の記録を更新し過去最大になると見込まれている。これは、米ドルに対するレアル安下での輸出需要や国際価格の上昇を背景に増産意欲が強く、作付面積が増加(同4.3%増)したためである。また、降水量不足による播種の大幅な遅れや日照不足による生育の遅れ、さらに収穫期の降雨により大幅な作業の遅れがあったものの、単収(同4.5%増)も前年度の実績を上回った。
 地域別生産状況を見ると、最大の生産地である中西部は、特に収穫期の不安定な天候により大きな影響を受けたものの、作付面積が増加(同3.5%増)したため、生産量は同1.0%増となった。そのほか、南部および南東部が過去最大の生産量を記録したのをはじめ、北部、北東部を含むすべての生産地域で前年度を上回った。
表
図1
図2
参考
【井田 俊二 令和3年8月18日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-9472