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世界の大豆需給予測(2021年9月)

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2021/22年度世界の期末在庫、生産増と需要緩和で上方修正

 米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)および米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は2021年9月10日、2021/22年度の世界の大豆需給予測値を更新した。
これによると、世界の大豆生産量は前月から79万トン上方修正の3億8442万トン(前年度比5.8%増)と前年度に続く記録的な水準が見込まれている(表)。最大の生産国であるブラジルが過去最大とされるほか、主要生産国の米国やアルゼンチンも前年度を上回ると見込まれている。なお、米国は、単収見通しの上方修正(1エーカー当たり0.6ブッシェル増)が反映されている。
 輸出量は、世界全体で1億7317万トン(同4.5%増)と前月から84万トン上方修正された。国別に見ると、最大の輸出国であるブラジルは、作付面積の拡大等に伴う生産増を背景に9300万トン(同13.4%増)と前年度をかなり大きく上回る一方、米国は、繰越在庫が少ないことなどから5688万トン(同7.5%減)と前年度をかなりの程度下回ると見込まれている。
 輸入量は、世界全体で1億7094万トン(同2.5%増)と前月から33万トン上方修正された。国別に見ると、最大の輸入国である中国は前月と変わらず1億100万トン(同2.0%増)に据え置かれた。中国は、国内でのアフリカ豚熱発生後、減少した豚飼養頭数の回復に歩調を合わせる形で世界の大豆貿易をけん引してきたが、その後の豚飼養頭数の増加が豚肉価格の下落を招いたことで、養豚生産に一定の抑制が生じ飼料需要は落ち着きを見せている。
 消費量(搾油仕向け)は、世界全体で3億2935万トン(同3.6%増)と前月から22万トン下方修正された。最大の消費国である中国は前月から変更はなかったが、米国は大豆粕需要の減少を要因に前月から68万トン下方修正された。
この結果、期末在庫は、前月より274万トン上方修正の9889万トン(同4.0%増)とされ、2015/16年度以来の低水準となった2020/21年度からの回復が見込まれている。
表 主要国の大豆需給見通し(2021年9月10日米国農務省公表)

中国、2021/22年度の大豆輸入量は前月公表と同じく1億トン超と予測

 中国農業農村部は9月10日、「2021年9月中国農産物需給状況分析」を公表した。この中で、大豆については具体的数値が示されなかったが、2021/22年度(10月〜翌9月)の生産、輸入、消費、価格に関し、いずれも予測に変更はなかったとしている。ただし、大豆の収穫が始まる中で市場への供給が徐々に開始されているが、大豆作付面積の減少や東北地方での生産減の見込みを受けて、国内の大豆価格は引き続き高止まり傾向で推移するとしている。2021年8月の国産大豆販売価格(国有企業)は、1キログラム当たり5.64元(98円:1元=17.39円)と前年同月比5.8%高となっている(図)。
図 国産大豆販売価格の推移(国有企業)
 中国政府系機関の国家糧油情報センターは9月6日、「油脂市場の需給状況に関する月報」を公表したが、前月公表からの変更はなかった。公表された予測値を見ると、2021/22年度の中国の大豆供給量は1億2040万トン、うち1840万トンが国産大豆、1億200万トンが輸入大豆であるとした。また、消費量(搾油仕向け)は1億150万トン(前年度比300万トン増)、うち160万トンが国産大豆、9990万トンが輸入大豆であるとした。そのほか食用等向けとして1738万トンの消費を見込んでいる。輸入量は引き続き増加傾向を示しており、世界の大豆需給に与える影響が高まっている。
【横田 徹 令和3年9月28日発】
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