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欧州委員会、食肉の短期的需給見通しを公表(EU)

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 欧州委員会は2021年10月8日、農畜産物の短期的需給見通し(注1)を公表した。今回、このうちの食肉(牛・豚・鶏)の概要について紹介する。

(注1)欧州委員会は、農畜産物の短期的需給見通しを年3回(晩冬、初夏、初秋)、中期的需給見通しを年1回(12月)公表している。

<牛肉>

 2021年の牛肉生産量は、飼料価格の上昇から下半期のと畜頭数の増加が見込まれることに加え、経済状況の回復や堅調な牛肉価格によって減少基調にはある程度の歯止めがかかると予想されている。このため、前回7月時見通しから0.9ポイント上方修正され、前年比0.5%の減少と見込まれている。しかしながら、22年については、再び減産となり同0.9%減と予測されている。
 21年上半期の牛肉生産の動きを見ると、スペインは、国内の牛肉需要の高まりから牛肉価格が高値で推移したことに加え、繁殖雌牛の増加などから前年同期比6.3%増となった。一方で、アイルランドでは、EU離脱後の英国との国境管理が不透明な状況であったため、英国のEU離脱直前の20年末に、英国向け牛肉輸出を急増させた反動から同7.0%減となった。また、ドイツでは、新型コロナウイルス感染症(COVID−19)の規制に伴う外食需要の低下や繁殖雌牛の減少などから同1.5%減となった。この結果、同年上半期の牛肉生産量は、同0.5%減と前年同期を下回った。
牛肉
 21年の牛肉輸出量は、香港、ノルウェーなど主に高価格帯製品の需要のある市場への輸出増が続いていることから、前年比2.0%の増加が見込まれている。しかし、同年上半期の牛肉輸出量は、最大の輸出先である英国向けが第1四半期で前年同期比29%減、第2四半期で同6%減となったことに加え、EU産の牛肉価格が高値で推移したことも影響し、同6%減となった。
 21年の牛肉輸入量は、EU加盟国の多くで外食産業や観光業が徐々に再開されることから、前年比5.0%の増加が見込まれている。しかし、同年上半期の牛肉輸入量は、豪州とブラジルの輸出余力が少ないことに加え、アルゼンチンの牛肉輸出制限措置やインドでのCOVID−19によると畜場の制限などにより、前年同期比11%減となった。
 また、21年の牛肉消費量は、下半期以降は牛肉需要の回復が予想されるものの、前年比0.6%の減少(1人当たり10.3キログラム)が見込まれている。

<豚肉>

 2021年の豚肉生産量は、前回7月時見通しと同様前年比1.7%の増加が見込まれている。同年上半期の豚肉生産の動きを見ると、昨年のCOVID−19の影響による減産の反動から、スペイン、オランダ、デンマーク、ポーランド、イタリアなどの主要豚肉生産国で生産量が大きく増加した。一方、ドイツは、昨年9月に野生イノシシからアフリカ豚熱が確認されたことで主要輸出先であった中国向けが停止したことに加え、豚肉価格の下落の影響もあり前年同期比1.2%減となった。EU全体の同年上半期の豚肉生産量は、同4.1%増と前年同期を上回った。
 また、豚肉価格については、上半期の生産量が前年同期を上回った中で、外食産業からの需要減少や中国向け輸出需要の減退もあり、ここ数カ月間、下落傾向で推移している。
豚肉
 21年の豚肉輸出量は、同年上半期の日本向けがCOVID−19に伴う外食規制などの影響から減少したものの、中国向けが引き続き増加していることに加え、アフリカ豚熱の発生により豚肉需給がひっ迫傾向にあるベトナム、フィリピン向けが増加し、下半期においても引き続き輸出は好調な推移が予測されることで、21年の豚肉輸出量は前年比6.0%の増加が見込まれている。
 また、21年の豚肉消費量は、同0.5%増(1人当たり32.4キログラム)が見込まれている。

<家きん肉>

 2021年の家きん肉生産量は、前回7月時見通しのまま前年比0.9%の減少が見込まれている。同年上半期の家きん肉生産の動きを見ると、鳥インフルエンザの発生が散発していることや、COVID−19の規制に伴う外食需要の低迷、また、飼料価格の高騰により、オランダ、ポーランド、スペイン、フランス、ドイツなどの主要鶏肉生産国で生産は軒並み減少した。この結果、同年上半期の鶏肉生産量は、前年同期比4.7%減となった。一方、下半期は、経済回復などに伴い生産は持ち直すと見込まれている。
 また、家きん肉価格は、21年6月中旬をピークに、その後は季節的な動向で下落し、9月中旬には100キログラム当たり196ユーロ(2万5676円:1ユーロ:131円(注2))となったが、過去5カ年(2016年〜20年)の平均価格を4%ほど上回っている。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の月末TTS相場。
家きん肉
 21年の家きん肉輸出量は、鳥インフルエンザの発生に伴う輸出への影響が懸念されることから、前年比5.0%の減少が見込まれている。同年上半期の家きん肉輸出の動きを主要輸出先別に見ると、ガーナとウクライナ向けが増加したものの、フィリピン、英国、香港、南アフリカ向けなどがそれを上回る減少となった。なお、英国向け輸出については、貿易上の障壁となり得る衛生植物検疫(SPS)措置の適用が当初の予定であった21年10月1日から22年7月1日へと大幅に延期されたことは輸出業者の助けになるとしている。
 21年の家きん肉輸入量は、前年同と見込まれている。同年上半期は、外食需要の減退を反映し、前年同期比13%減となったものの、下半期は徐々に需要の回復が期待されている。
 また、21年の家きん肉消費量は、比較的安定的な推移が予測されており、前年比0.1%減(1人当たり23.6キログラム)と前年並みが見込まれている。

 欧州委員会は、COVID−19のワクチン接種の進展により、EU域内での各種規制の緩和から、需要の回復が期待されている。しかし、インフレ圧力はより強くなっており、特にエネルギー、原材料、肥料、貨物船の運賃価格が2021年上半期に上昇していることから、これらの部門の市場動向について注意深く監視していく必要があるとしている。
【小林 智也 令和3年10月19日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-8527



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