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酪農家戸数減少も、生乳生産量は過去最高を記録(NZ)

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 ニュージーランド(NZ)の酪農関連団体であるデーリーNZは12月2日、NZ家畜改良公社(LIC)と共同で実施しているNZの酪農に関する統計調査結果「New Zealand Dairy Statistics 2020-21」を公表した。

酪農家戸数、飼養頭数は減少も、経営規模拡大は継続

 これによると、2020/21年度(6月〜翌5月)の酪農家戸数は1万1034戸(前年度比1.3%減)と6年連続で前年を下回った。また、乳用経産牛の飼養頭数は490万3733頭(同0.4%減)と3年連続で減少したが、1戸当たり飼養頭数は444頭(同0.9%増)と4年連続で増加し、経営規模の拡大が続いている(図1)。
図1

生乳生産量は過去最高を記録

 2020/21年度の生乳生産量は、乳用経産牛の飼養頭数が減少する中、2171万キロリットル(同2.6%増)とわずかに増加し、これまでの最大であった14/15年度の2125万キロリットルを上回り過去最高を記録した。また、世界的な乳製品需要の高まりを背景に、乳業最大手のフォンテラ社などがシーズンを通して生産者乳価の引き上げを行ったことなどを受けて、生産者の搾乳意欲が増しており、1戸当たり飼養頭数の増加とともに、補助飼料の給与の増加などから1頭当たりの乳量も4426リットル(同3.0%増)と過去最高となった(図2)。
図2

南島の経営規模拡大が継続

 NZの酪農生産は、歴史的に北島を中心に行われてきたが、近年、南島の生産割合が高まっており、NZにおける酪農家の経営規模拡大をけん引している。2020/21年度の酪農家戸数で見ると、北島の割合が71.1%と依然として大半を占めているものの、1戸当たり飼養頭数では北島の362頭に対し、南島は647頭で約1.8倍となっている(図3)。この理由として、南島の酪農生産は、かんがい設備を利用した放牧が主体であり、肉牛や羊生産からの転換が進んだほか、北島よりも安価な土地価格であることなどから、北島に比べて規模拡大が図りやすいことが挙げられる。今回の調査結果でも、南島は経営規模が拡大傾向にあるほか、1頭当たりの乳量も北島を上回っている。
図3
 調査を行ったデーリーNZのマックル最高責任者は、「少ない頭数でより多くのミルクを」という傾向が続いていることは、搾乳能力の高い牛の飼育を通じ、より持続可能な農業を行うことに焦点を当て続けているという酪農家の姿勢を示唆するものであり素晴らしいこと、とコメントしている。
【廣田 李花子 令和3年12月16日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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