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乳用牛のふん尿から製造する再生可能天然ガスへの注目が高まる(米国)

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 全米生乳生産者連盟(NMPF)は2021年12月20日、シェル・オイル・プロダクトUS(シェルUS)社と米国酪農企業ハイ・プレインズ・ポンデローサ・デイリー(ポンデローサ)社が共同で乳用牛のふん尿を利用する再生可能天然ガス(RNG)製造施設を建設中であることを発表した。

シェルUS社とポンデローサ社の提携

 オランダのロイヤル・ダッチ・シェル社は、2050年までにカーボンニュートラルを実現するという目標を表明している。その一環として、米子会社であるシェルUS社が米国酪農家と連携したRNG製造とRNGから炭素強度(エネルギー消費当たりの二酸化炭素排出量)の低い再生可能圧縮天然ガス(R−CNG)を大型車両用の燃料として生産することを計画している。
 一方で、ポンデローサ社はカンザス州プレインズに位置する大規模酪農企業であり、計40人の従業員により1万6000頭以上の乳用牛を飼養している。同社は酪農による温室効果ガスの排出抑制、収入の多様化に取り組むとともに、動物福祉にも力を入れることで持続可能な酪農を目指している。
 これら二社が共通の目標である持続可能性に向け、ポンデローサ社農場敷地内に牛のふん尿からRNGまでを一貫製造する「ハイ・プレインズ・シェル・ダウンストリーム・ギャロウェイ」施設の建設を開始した。操業開始は未定であるが、年間5000億Btu(注)以上のRNGを生産予定としている。
(注)Btu:熱量単位。国際標準化機構(ISO)の規定では、1Btu=1055.06J
 なお、シェルUS社は2021年9月、オレゴン州ジャンクションシティにおいて、現地で排出される乳用牛のふん尿と農業残さを利用したRNG生産に成功し、同社にとって米国内で初となるRNG製造施設の稼働を開始した。本施設では年間7360億BtuのRNGを生産予定としている。また、ポンデローサ社との提携のほか、アイダホ州ウェンデルに位置する米国酪農企業ベッテンコート・デイリー社とも提携し、農場敷地内に年間生産量4000億Btu規模のRNG施設の建設を進めている。

米国におけるRNG製造への注目の高まり

 ロイヤル・ダッチ・シェル社と同様に石油メジャーとして名を連ねる英国のBP社、フランスのトタル社、米国のシェブロン社も2020年12月以降、米国におけるRNG製造への投資を相次いで発表した。BP社は米国クリーン・エナジー・フューエルズ社による乳用牛のふん尿および一般廃棄物を利用したRNG製造への出資、トタル社はクリーン・エナジー・フューエルズ社との乳用牛のふん尿を利用したRNG製造を行う合弁会社の設立、シェブロン社は米国ブライト・マーク社と提携した乳用牛のふん尿を利用したRNG製造の拡大を発表した。
 また、米国大手配送業者のユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)社は2019年5月、クリーン・エナジー・フューエルズ社から2026年までの7年間にわたり年間平均2430ガロンのRNGの購入契約を締結し、個別企業としては過去最大の購入量として話題となった。
 米国環境保護庁(EPA)によると、米国農業と連携したRNG製造プロジェクト数は2017年まで7カ所前後で推移してきたが、2018年には14カ所(前年比100%増)、2019年には29カ所(同107%増)、2020年には53カ所(同83%増)、2021年には97カ所(同83%増)とそれぞれ大幅に増加し、さらに33カ所が現在建設中とのことである(図)。バスやトラックなどの大型車両用の燃料としてRNG需要が拡大する中で、米国酪農と連携したRNG製造への注目は着実に高まっている。
図
【調査情報部 令和4年1月7日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-9805



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