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米国農務省による世界のトウモロコシ需給予測(2022年1月)

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2021/22年度の世界のトウモロコシ期末在庫、前月予測からわずかに下方修正されるも、19/20年度の水準を維持

 米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)および米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は2022年1月12日、2021/22年度の世界のトウモロコシ需給予測値を更新した(表1)。
 これによると、世界のトウモロコシ生産量は、12億696万トン(前年度比7.5%増、前月比0.1%減)とされ、先月に引き続き史上最高の水準となることが見込まれている。国別に見ると、単収の引き上げによりウクライナが200万トン、作付面積の引き上げにより米国が135万トン上方修正された。一方、ラニーニャ現象による乾燥気候の影響で単収が引き下げられたブラジルが300万トン、同様にアルゼンチンが50万トン、それぞれ下方修正された。
 輸出量は、世界全体で2億420万トン(同13.8%増、同0.3%減)とされた。国別に見ると、生産量で上方修正のあったウクライナが100万トン上方修正された一方、主要輸出国との競合などにより米国が190万トン下方修正された。
 輸入量は、世界全体で1億8681万トン(同0.3%増、同0.7%増)とされた。主要生産国の中では、生産量で下方修正のあったブラジルが30万トン上方修正された。
 消費量は、世界全体で11億9612万トン(同5.2%増、前月並み)とされた。国別に見ると、エタノール向け需要が引き上げられた米国が203万トン、ウクライナが100万トン上方修正された一方、アルゼンチンが50万トン下方修正された。
 この結果、期末在庫は、前月から247万トン下方修正の3億307万トン(同3.7%増)とされたが、2019/20年度に近い在庫水準が見込まれている。
表1 主要国のトウモロコシの需給見通し(2022年1月12日米国農務省公表)

2021/22年度の米国トウモロコシ期末在庫、生産量の上方修正を受けて、前年度比24.7%増

 USDA/WAOBは2022年1月12日、2021/22年度(9月〜翌8月)の米国の主要農作物需給予測値を更新した。このうち、同国のトウモロコシ需給見通しは、次の通りである(表2)
 生産量は、作付面積の引き上げにより、151億1500万ブッシェル(3億8394万トン(注1)、前年度比7.1%増、前月比0.4%増)とわずかに上方修正された。前年度からかなりの程度増加する見込みであり、これまでの統計で最も生産量の多かった2016/17年度の151億4800万ブッシェル(3億8477万トン)に近い水準となっている。  
 消費量は、主にエタノール向け需要の引き上げにより、124億1000万ブッシェル(3億1523万トン、同2.8%増、同0.6%増)とわずかに上方修正された。
 輸出量は、主要輸出国との競合などにより24億2500万ブッシェル(6160万トン、同11.9%減、同3.0%減)とやや下方修正され、記録的な輸出量となった前年度からかなりの程度の減少が見込まれている。  
 期末在庫は、生産量の上方修正を受けて、15億4000万ブッシェル(3911万トン、同24.7%増、同3.1%増)とやや上方修正された。
 この結果、期末在庫率(総消費量に対する期末在庫量)は10.4%(同2.1ポイント増、同0.3ポイント増)とされ、10月予測から引き続き10%台を保っている。
 また、生産者平均販売価格は、1ブッシェル当たり5.45米ドル(632円。1キログラム当たり24.9円:1米ドル=116円〈注2〉)と前月対比で据え置かれた。

(注1)1ブッシェルを約25.401キログラムとして農畜産業振興機構が換算。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の12月末TTS相場。
表2 米国のトウモロコシの需給見通し(2022年1月12日米国農務省公表)
【荒川 侑子 令和4年1月24日発】
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