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豚肉価格の低迷で、備蓄に向けた国家買入を再度実施(中国)

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 中国国家発展改革委員会(以下「発改委」という)など関係機関は2022年3月、「政府の豚肉備蓄調整メカニズムを改善し、豚肉市場の供給と価格の安定を図る準備計画(以下「準備計画」という)」(注1)に基づき、国家備蓄による豚肉の買入れを相次いで実施した。昨年10月に3万トンの買入れを実施して以来となる。
 
 発改委によると、養豚生産者の経営状況の指標の一つである豚/穀物比(注2)が、22年の1月中旬から3週間連続で5:1台を記録し、準備計画の第2級警報水準で推移していた。ところが、2月下旬に入るとさらなる生体豚価格の低下により豚/穀物比は4:1台を記録し、第1級警報水準で推移した。このため、3月3日(1万9400トン)、4日(2万600トン)、10日(3万8000トン)の3日間で計7万8000トンの豚肉を対象に中央政府による買入れが実施された。しかし、今のところ生体豚価格の回復には至っておらず、3月23日の豚/穀物比は4.53:1と21年以降で最低を更新している(図)。発改委は、関係機関とともにさらなる買入れ実施の準備を進めているとしており、中央政府のみならず省政府による買入れも積極的に実施するよう指導するとしている。これまでに省政府による買入れの実施が確認されたのは、都市部や豚肉消費量の多い南東部を中心とした北京(直轄市)、江西省、湖北省、重慶(直轄市)、雲南省、陝西省、寧夏省とされ、他の地域でも順次、実施されるとみられる。
豚/穀物比の推移
22年1月以降の生体豚価格の下落の要因は、春節需要を見越した出荷の集中と新型コロナウイルス感染症の流行を要因としたロックダウンなどによる需要減とされている。さらに2月以降は、例年の春節明けの需要減による価格の下落時期であることも影響したとみられている。生産者にとっては飼料価格の高騰に加え、アフリカ豚熱などの疾病対策によるコストの増加も経営を圧迫する要因となっており、この間、1頭当たりの肥育コストが100元(1857円:1元=18.57円(注3))以上も増加したとされる。このように非常に厳しい経営状況が継続している中で、過去の生体豚の価格変動サイクルから判断して、現在の価格低下はまもなく底を打ち、上昇に転ずるとの明るい見方も一部で出てきている。また、21年の秋ごろから繁殖雌豚頭数が減少に転じたことから、22年後半に価格が回復するとの見方も多い。他方、一部では22年中の本格的な価格回復は見込めないとする見方もあり、養豚生産は先行きの見通しが難しい状況が続いている。
 
(注1)「完善政府猪肉儲備調節机制做好猪肉市場保供穏价工作預案」2021年第770号公告)を指す。なお、詳細は海外情報「豚肉価格下落を受けて国家備蓄のための豚肉の買入・保管を開始(中国)」を参照されたい。
https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_002983.html
(注2)政府による養豚生産者の収益性の指標値。算出方法は、1キログラム当たり生体豚出荷価格/1キログラム当たりトウモロコシ卸売価格。損益分岐点は7:1とされている。
  • 第1級警報基準比  : 5:1未満
  • 第2級警報基準比  : 第3級の状態が三週間以上継続
  • 第3級警報基準比  : 5:1以上6:1未満
  • 基準比(損益分岐点): 7:1
(注3)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2022年2月末TTS相場。
 
【海老沼 一出 令和4年4月1日発】
このページに掲載されている情報の発信元
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