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米国農務省による世界の大豆需給予測(2022年4月)

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南米での減産見通しで、輸出と期末在庫は4カ月連続の下方修正

 米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)および米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は2022年4月8日、2021/22年度の世界の大豆需給予測値を更新した(表)。
 これによると、世界の大豆生産量は3億5072万トン(前年度比4.6%減)と前月から308万トン下方修正された。最大の生産国であるブラジルは、同国南部での乾燥気候の影響により前月から200万トン下方修正され、4カ月連続での大幅見直しとなった。また、隣国のパラグアイもブラジルと同様、乾燥気候の影響から引き続き減産が見込まれることで、主にこれら2カ国の減少分が反映される形となった。
 輸出量は、世界全体で1億5529万トン(同5.6%減)と前月から334万トン下方修正された。最大の輸出国であるブラジルは、生産量の減少見通しにより同275万トン下方修正されたほか、パラグアイも同70万トン下方修正され、ウクライナとロシアの減少分も加味されている。一方で、米国は同68万トン上方修正されており、南米の減少分の一部を補う形となった。
 輸入量は、世界全体で1億5292万トン(同7.5%減)と前月から381万トン下方修正された。うち、最大の輸入国である中国は、ブラジルなどの輸出量の減少見通しを反映し、9100万トン(同8.8%減)と同300トン下方修正された。
 消費量(搾油仕向け)は、世界全体で3億1291万トン(同0.7%減)と前月から235万トン下方修正された。最大の消費国である中国は、輸入量の減少見合い分と同じく8900万トンに下方修正された。
 この結果、期末在庫は8958万トン(同13.1%減)と前月から38万トン下方修正された。期末在庫は、中国などの大豆輸入需要の増加を背景に南米などの生産拡大から上昇基調で推移してきたが、21/22年度は15/16年度以来となる8千万トン台への減少が見込まれている。

米国の大豆作付面積は過去最大見込み、中国は備蓄大豆を放出

 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が3月31日に公表した穀物の作付け予想によると、22年の大豆の作付面積は9096万エーカー(3681万ヘクタール(注)、前年比4.3%増)と過去最大が見込まれており、トウモロコシの作付面積8949万エーカー(3622万ヘクタール、同4.1%減)を上回るとされている。州別では、全米29州のうち24州で作付面積が前年を上回るとされ、穀物生産が盛んな中部穀倉地帯に位置するアイオワ州、イリノイ州などでは過去最大と予想されている。
 一方で中国政府は、国内の大豆価格高騰を受けて4月に入り計150万トンの備蓄大豆の放出を公告するとともに、22年の政策として大豆作付面積の拡大を掲げている。
(注)1エーカーは約0.4047ヘクタール。
表 主要国の大豆需給見通し(2022年4月8日 米国農務省公表)
【横田 徹 令和4年4月14日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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