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フォンテラ社ら、米国の育児用調製粉乳不足で供給申請書を提出(NZ)

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 5月30日付けのニュージーランド(NZ)の現地報道によると、NZ最大手の酪農協系乳業メーカーであるフォンテラ社および同社と包括的戦略的パートナーシップを締結しているA2ミルク・カンパニー社(注)は、米国への育児用調製粉乳(以下「育粉」という)の輸出に向け、米国食品医薬品局(FDA)にベビーフードの供給申請書を提出した。
(注)詳細は、海外情報「フォンテラ社、a2ミルク社とパートナーシップを締結(NZ)」を参照されたい。
 米国では、本年2月に米国の育粉供給最大手アボット・ラボラトリーズ社の育粉を飲んだ乳児から感染症を疑う事例が報告されたことを受け、同社の工場が閉鎖されたことをきっかけに、深刻な育粉不足に陥っている。
 この状況に対し、米国政府は、本来軍需物資調達を目的に政府が民間企業に物資の生産を要請する「国防生産法」を発動し、国内メーカーに育粉の増産を要請している。このほか、軍用機などを使った海外からの育粉の空輸や、通常米国内での販売が認められていない外国製品の輸入を許可するなどの措置をとっている。
 これを受け、オセアニア地域では、Bubs Australia社が既に米国への育粉供給の許可を得ており、バイデン米国大統領も5月27日、自身のツイッターで、「Bubs Australia社製の安全な乳児用粉ミルク2750万本が米国に届く」と発信している。
 これに追随する形となるフォンテラ社は、申請書の提出に際し、「米国の状況の深刻さを十分に認識しており、支援を行いたい」とのコメントを発表している。
 また、フォンテラ社以外の動きについてNZ乳業協会(DCANZ)は、NZの乳業各社は、米国に対してどのように支援できるかを積極的に調査中であり、各社が在庫量などに基づいて決定を下すことになるだろうとコメントしている。
 なお、日本に対しても、FDAからの世界の育粉製造企業に対する輸出要請に基づき、在京米国大使館を通じて農林水産省に協力依頼があり、現在、日本の乳業各社は輸出に向けて検討を進めている状況にある。

参考

【阿南 小有里 令和4年6月2日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-9530