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中国農業展望報告(2022−2031)を発表(砂糖編)(中国)

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最終更新日:2022年6月23日

 中国農業農村部は2022年4月20日、中国農業展望大会を開催し、今後10年間の農業を展望する「中国農業展望報告(2022−2031)」を発表した。同大会は14年から毎年開催されており、今回は、21年の総括と31年度までの農畜水産物の生産量や消費量の見通しが報告された。本稿ではこの中の砂糖について紹介する。なお、各砂糖年度は10月〜翌9月である。

1.2020/21年度の動向

 糖料作物(サトウキビおよびてん菜)の作付面積は、前年度比1.7%減の136万ヘクタールとなった。このうち、サトウキビが約113万ヘクタール(前年度比3.2%減)、てん菜が約23万ヘクタール(同6.5%増)となり、サトウキビ糖の減少分が全体に影響を及ぼす形となった。
 生産量は、作付面積が減少する中で、サトウキビの単収が前年度比8.1%増の1ヘクタール当たり67.8トンとなった結果、1067万トン(同2.4%増)と前年度からわずかに増加した。
 消費量は、コロナ禍で2020年に停滞した経済活動が回復したことにより、1550万トン(同3.3%増)とやや増加した。
 輸入量は、需給のギャップを補う形で634万トン(同68.6%増)と前年度に続き大幅に増加した。これは、国内価格の上昇により、関税割当枠外で輸入される砂糖の価格優位性が相対的に高まったことや、輸入報告の管理対象品目の追加(注)によって枠外で輸入される砂糖の輸入申告が容易になったことが要因と分析されている。

(注)中国商務部は2020年6月29日、輸入報告の管理対象品目に関税割当枠外で輸入される砂糖を7月1日から追加することを発表した。現在、関税割当枠外の砂糖については、50%の関税が賦課されている。詳細は、『砂糖類・でん粉情報』2020年8月号「砂糖の国際需給 3. 世界の砂糖需給に影響を与える諸国の動向」の中国の項(https://www.alic.go.jp/joho-s/joho07_002269.html)を参照されたい。

2.2021/22年度の動向予測

 作付面積は、主にてん菜の作付面積の減少から、126万ヘクタール(同7.2%減)とかなりの程度減少すると見込まれている。
 生産量は、南部の低温や日照不足がサトウキビの作付面積の増加を相殺し、甘しゃ糖生産が微増にとどまる一方で、北部のてん菜の作付面積の減少がてん菜糖の減産の要因となり、全体では1011万トン(同5.2%減)と減少が見込まれている。
 消費量は、コロナ禍からの経済回復や国民一人当たりの可処分所得の増加により、1561万トン(同0.7%増)と見込まれている。
 輸入量は、砂糖の国際価格の上昇により、原料として外国産の粗糖を使用する精製糖工場の生産意欲が低下することから、532万トン(同16.1%減)と大幅な減少が予測されている。

3.2030/31年度までの動向予測

 今後約10年間で、都市化による農地面積の減少や他の作物との競合の激化、また、農家の高齢化などが糖料作物の栽培面積に影響を及ぼす可能性があるものの、中国政府による砂糖産業への支援が農家の作付け意欲を高め、機械化の進展や栽培技術の向上による糖料作物の単収増加も見込まれている。このため、生産量は2021/22年度から30/31年度にかけて年平均0.3%の割合で増加し、30/31年度には1093万トンに達すると予測されている。
 消費量は、21/22年度から30/31年度にかけて年平均0.4%の割合で増加し、30/31年度には1628万トンに達すると予測されている。ただし、今後も緩やかな経済成長が消費量の増加に貢献するとみられる一方で、出生率の低下や高齢化社会などを背景とした嗜好(しこう)の変化、健康志向の高まりによる代替甘味料の需要増加などにより、今後約10年間の増加率は落ち着いたものになると見込まれている。
 輸入量は、生産量が消費量に対して65〜70%程度で推移すると見込まれることや、世界的なバイオエタノール需要から砂糖の国際価格が高水準で維持されることなどを考慮して、21/22年度から30/31年度にかけて年平均2.5%の割合で増加し、30/31年度には581万トン(基準期間比〈18/19〜20/21年度の平均値からの増減率〉30.7%増)に達すると見込まれている。
表
【塩原 百合子 令和4年6月23日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-9532