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欧州委員会、2023年まで輪作および休耕義務を停止(EU)

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 EU加盟国は7月27日、2023年から始まる次期共通農業政策(CAP)において、直接支払いなどの受給要件である輪作と休耕の義務を1年間免除し、開始を24年に遅らせる欧州委員会の提案を承認した。この提案は欧州委員会実施規則2022/1317として7月28日に施行された。
欧州委員会は、ロシアのウクライナ侵攻による世界規模の食料安全保障への懸念に対応するため、持続可能性との兼ね合いを考慮して今回の免除措置を講じたとしている。

 同免除措置は、23年にCAPの直接支払いを受けるため「良好な農業環境基準(GAEC)」で課せられる義務の一部を免除するものである。同免除措置により、23年末までは作物を輪作する義務および生物多様性保全のための休耕地を設定する義務(注1)が生産者から免除される。ただし、飼料用として用いられるトウモロコシおよび大豆は同免除措置から除外された。

(注1)22年までの現行のCAPでは、15ヘクタール以上を作付する生産者は農地の5%を休耕地とする義務を負うが、23年からの次期CAPでは全ての生産者が同4%を休耕地とする義務を負う。

 欧州委員会は22年現在、すでに現行CAPにおける同義務を免除し、休耕地での作付けを認めている。しかし、22年の穀物生産量は、ここ数カ月のEU全域での高温・乾燥傾向により前年比2.5%の減少が予想されている。このような状況の中で、同免除措置による150万ヘクタール(注2)の追加の作付けが期待されている。

(注2)EUの主要作物の21年作付面積は6632万ヘクタールで、150万ヘクタールは同面積の2%強に相当する。

生産者団体は同措置を歓迎する一方、一部内容に不満を表明

 EU最大の農業生産者団体である欧州農業組織委員会・欧州農業協同組合委員会(Copa Cogeca)は7月27日、同免除措置により2023年の作付け計画を策定できると歓迎し、各国がすでに策定している23年のCAP実施計画に同免除措置を速やかに反映するよう求めた。その一方で、トウモロコシおよび大豆が同免除措置から除外されたことに不満を表明している。
 欧州トウモロコシ生産者連合(CEPM)も、トウモロコシを飼料とする畜産業が欧州の食料自給や化学肥料の削減に貢献していることや、トウモロコシがでん粉に加工され食用となる点を強調し、トウモロコシを同免除措置から除外したことを非難した。

 一方、欧州環境事務局(EEB)は、同免除措置はロシアのウクライナ侵攻によって懸念される食料安全保障の誤った解決策であるとし、この懸念の解決には気候変動対策を推進し、健全な農業生態系の保全が重要であると主張している。
【調査情報部 令和4年8月17日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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