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豚肉および鶏肉の韓国向け輸出が再開(EU)

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 欧州委員会は9月5日、同日付けで韓国向け豚肉および鶏肉の輸出再開を公表した。これは、EU各国でのアフリカ豚熱(ASF)および高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)の発生に対して韓国が発生国単位で輸入停止措置を講じてきたが、今回、EUが主張する地域主義(Regionalization)への変更を認めたことによるもの。この決定によりEUは、今後数年間で10億ユーロ(1405億円:1ユーロ=140.53円(注1))を超える貿易が可能になると見込んでいる。
(注1)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の22年8月末TTS相場。
 
 同委員会のドムブロフスキス副委員長(兼通商担当委員)は、「韓国が欧州の豚肉および鶏肉の輸出規制の解除を決定したことで輸出機会を拡大できる。この決定は、韓国の消費者が高品質なEU製品を消費できるという恩恵を受けられることに加え、我々がEUの農業を支援するという約束を果たしていることを意味する。我々は2011年の通商協定(注2)以来、貿易関連で緊密に協力してきた生産的な関係を歓迎する。EUの地域主義については、他の貿易相手国に対しても同様に建設的な協力を発展させたい」と述べている。
(注2)海外情報「EU・韓国FTA、7月1日に暫定発効へ(欧州)」を参照されたい。
 
 また、同委員会のキリアキデス保健・食品安全担当委員は、「家畜衛生は、我々にとって最優先事項である。EUでは、ASFやHPAIに対して、厳格で効果的な対策を実施してきた。韓国とEUの貿易が再開されたことは、現在の厳しい経済状況の中で、EUの生産者に大きな利益をもたらす。これは、EUの厳格な対策が評価されたものである。我々は、家畜衛生と食品の安全性について最高水準の保証を約束するEUの食品を引き続き輸出することを固く決意している」と述べている。
 
 今回の輸出再開の決定は、韓国への鶏肉および鶏肉製品の輸出が可能な11のEU加盟国(ドイツ、ポーランド、ハンガリー、ベルギー、フランス、フィンランド、スペイン、オランダ、スウェーデン、デンマーク、リトアニア)、および豚肉および豚肉製品の輸出が可能な14のEU加盟国(ドイツ、ポーランド、ハンガリー、ベルギー、フランス、フィンランド、スペイン、オランダ、スウェーデン、デンマーク、スロバキア、オーストリア、アイルランド、ポルトガル)にとって利益となる。また、韓国は、輸入条件をWTOおよびEU・韓国FTAの規約に一層合致させることになる。
 
 ドイツの養豚団体は、ASF発生後に豚肉の輸出が大幅に減少したが今回の措置がドイツの食肉市場に安堵感を与えるとしている。今後は韓国への輸出に向け、輸出許可証と食肉処理場の再認可が必要となる。
 
 これまで韓国は、ASFやHPAIが発生したEU加盟国からは豚肉および鶏肉の輸入を発生国単位で禁止していた。しかし、EU加盟国の発生地域内で感染を防ぐという厳格な地域主義に基づく措置を認め、韓国の輸入衛生要件に反映させた。これにより、これらの家畜疾病が発生した場合、発生国単位での輸出禁止ではなく、未発生地域からの輸出が可能となった。
 
 この貿易を促進する措置は、EUの地域主義に基づく防疫管理策について韓国による綿密な技術的審査を経て実現した。これにより韓国は疾病の発生しているEU加盟国であっても、未発生地域から安全に輸入を継続できると結論づけた。
【渡辺 淳一 令和4年9月8日発】
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