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ウクライナ産トウモロコシを巡る情勢(その7)〜最近の輸出動向〜

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 ウクライナ農業政策食料省が9月2日に公表した穀物の輸出状況(速報値)によると、8月は小麦、大麦、トウモロコシを計226万トン(前年同月比59.5%減)輸出し、うちトウモロコシは133万トン(同4.4倍)となった。穀物全体の輸出量が前年同月比6割減となる中で、トウモロコシが増えているのは、例年8月は端境期で旧穀の在庫量が最も少なく、輸出量も底となる時期であるが、今年はロシアの侵攻により黒海が封鎖され、輸出が不可能となった大量の在庫が留保されていたためである。なお、同月の穀物全体の輸出量は前月比14.1%増であり、8月から黒海航路による輸出が再開されたが、その効果はいまだ限定的といえる。

 黒海穀物イニシアティブの共同調整センター(JCC)の8月29日付け情報によると、これまでにウクライナの3港(オデーサ、チョルノモルスク、イズニー)から計39隻、125万トンの穀物が輸出された。EU向けトウモロコシ船舶のうちJCCが出港を許可したのは、以下のとおりである。
・ 8月5日:アイルランド向け3万3000トン、英国向け1万3041トン
・ 8月22日:ギリシャ向け5300トン
・ 8月25日:ドイツ向け5万8510トン
・ 8月28日:オランダ向け3万トン、イタリア向け3万9494トン、ルーマニア向け2万7500トン
 直近ではルーマニア向け2万4485トンの船舶が29日に出港許可を得ている。これらを合わせても23万トン(前年同月比14%減)と前年同月をかなり大きく下回る。

 また、JCCは8月25日、オデーサ、チョルノモルスク、イズニーの3港に出入りする商業船舶向け新航路を公表した。新航路は26日から使用され、全長320海里(592.64キロメートル:1海里=1.852キロメートル)で同3港とトルコ領海内の検査地点を結ぶ航路となる。同航路により、海上人道回廊が短縮されるとともに、商業船舶が海上人道回廊を通過する際、軍艦、航空機、無人航空機は、黒海穀物イニシアティブの趣旨に倣い、船舶の半径10海里(18.52キロメートル)以内に接近してはならないとされている。
【調査情報部 令和4年9月9日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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