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米国農務省による世界のトウモロコシ需給予測(2022年10月)

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2022/23年度の世界のトウモロコシ、期末在庫は前年度比微減見込み

 米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)および米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は2022年10月12日、22/23年度の世界のトウモロコシ需給予測値を更新した(表1)。
 これによると、世界のトウモロコシ生産量は11億6874万トン(前年度比4.0%減)と前月から384万トン下方修正され、前年度をやや下回ると見込まれている。地域別に見ると、インドなどで生産量が増加したものの、フランス、ルーマニアなどでの減産が見込まれるEUや米国の生産量が前月から下方修正されたことで、これが吸収される形となった。特に、EUは5620万トン(同20.8%)と、今年度と同様の干ばつ被害があった07/08年度以来、最も少ない生産量が見込まれている。
 輸入量は、世界全体で1億7896万トン(同2.7%減)と前月から71万トン上方修正されたものの、前年度からわずかな減少が見込まれている。地域別に見ると、EUは前年度末から減産を背景に輸入が増加する中で、特にブラジルやウクライナなどの主産国からの輸入が増えており、輸入量が2000万トン(前年同)と前月から100万トン上方修正された。一方で、世界最大の輸入国である中国は1800万トン(同18.2%減)と大幅な減少が見込まれていることから、EUが世界最大の輸入元になると予測される。
 消費量は、世界全体で11億7455万トン(同2.4%減)と前月から563万トン下方修正され、前年度からわずかな減少が見込まれている。地域別に見ると、最大の消費国である中国のほか、米国やブラジルなどの主要国は前月から据え置かれたものの、ウクライナやEUなどをはじめとした国々で下方修正されたことが影響した。
 輸出量は、世界全体で1億8304万トン(同9.8%減)と前月から54万トン下方修正され、前年度からかなりの程度減少が見込まれている。地域別に見ると、ウクライナは近時の輸送環境などの改善を受け、前月から250万トン上方修正されたものの、前年度比で42.6%減の1550万トンと大幅な減少が見込まれている。また、EUも主要輸出国であるルーマニアの減産の影響を受け270万トン(同55.0%減)と大幅な減少が予測されている。
 この結果、期末在庫は3億119万トン(同1.9%減)と前月から334万トン下方修正され、前年度からわずかな減少が見込まれている。
表1 主要国のトウモロコシの需給見通し(2022年10月12日米国農務省公表)

2022/23年度の米国トウモロコシ、3カ月連続で生産量を下方修正

 USDA/WAOBは2022年10月12日、22/23年度(9月〜翌8月)の米国のトウモロコシ需給見通しを更新した(表2)。
 生産量は、単収減少予測を受けて138億9500万ブッシェル(3億5295万トン(注1)、前年度比7.8%減)と前月から4900万ブッシェル(124万トン)下方修正され、前年度からかなりの程度減少すると見込まれている。
 消費量は、120億ブッシェル(3億481万トン、同3.9%減)と前月から据え置かれ、前年度からやや減少すると見込まれている。内訳を見ると、飼料など向けが5000万ブッシェル(127万トン)上方修正されたものの、エタノール向けが同量下方修正となったことで、これが吸収される形となった。
 輸出量は、21億5000万ブッシェル(5461万トン、同13.0%減)と前月から1億2500万ブッシェル(318万トン)下方修正され、前年度からの減少幅が拡大すると見込まれている。
 この結果、期末在庫は、減産を背景に前月から4700万ブッシェル(119万トン)下方修正され、11億7200万ブッシェル(2976万トン、同14.9%減)と、引き続き前年度をかなり大きく下回ると見込まれている。
 また期末在庫率(総消費量に対する期末在庫量)は8.3%(同0.9ポイント減)と、8%台前半にまで低下すると予測されている。
 生産者平均販売価格は、1ブッシェル当たり6.80米ドル(992円。1キログラム当たり39.0円:1米ドル=145.81円(注2))と前月から上方修正され、前年度からかなり大きく上昇し、12/13年度に記録した同6.89米ドル以来の高値水準となることが予測されている。
 
(注1)1ブッシェルを約25.401キログラムとして農畜産業振興機構が換算。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2022年9月末TTS相場。
表2 米国のトウモロコシの需給見通し (2022年10月12日米国農務省公表)
【針ヶ谷 敦子 令和4年10月19日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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