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米国農務省による世界のトウモロコシ需給予測(2022年11月)

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生産量と消費量の乖離が拡大し、期末在庫は前年度比微減の見込み

 米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)および米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は2022年11月9日、2022/23年度の世界のトウモロコシ需給予測値を更新した(表1)。
 これによると、世界のトウモロコシ生産量は11億6839万トン(前年度比4.0%減)と前月から35万トン下方修正され、前年度をやや下回ると見込まれている。地域別に見ると、米国やトルコなどで生産量が増加したものの、ハンガリーでの減産が見込まれるEUの生産量が前月から下方修正されたことで、これが吸収される形となった。特に、猛暑と乾燥により作柄の見通しが悪いEUは5480万トン(同22.8%減)と、今年度と同等の干ばつ被害があった07/08年度以来の不作が見込まれている。
 輸入量は、世界全体で1億7760万トン(同3.4%減)と前月から136万トン下方修正され、前年度からやや減少すると予測されている。地域別に見ると、増産が見込まれるトルコで30万トン下方修正された他、アルジェリアで30万トン、ベトナムで50万トン下方修正された。
 消費量は、世界全体で11億7530万トン(同2.3%減)と前月から75万トン上方修正されたものの、前年度からわずかな減少が見込まれている。地域別に見ると、米国での飼料など向け消費の増加などにより前月から上方修正されたものの、EUなどで下方修正されたことが影響した。なお、最大の消費国である中国は2億9500万トンと前月から据え置かれた。
 輸出量は、世界全体で1億8274万トン(同9.5%減)と前月から30万トン下方修正され、前年度からかなりの程度減少が見込まれている。地域別に見ると、南アフリカが減産を受けて30万トン下方修正された。
 この結果、期末在庫は3億76万トン(同2.2%減)と前月から43万トン下方修正され、前年度からわずかな減少が見込まれている。
表1 主要国のトウモロコシの需給見通し(2022年11月9日米国農務省公表)

米国生産量は4カ月ぶりに上方修正されるも期末在庫率は引き続き低水準

 USDA/WAOBは2022年11月9日、2022/23年度(9月〜翌8月)の米国のトウモロコシ需給見通しを更新した(表2)。
 生産量は、単収増加予測を受けて139億3000万ブッシェル(3億5384万トン(注1)、前年度比7.6%減)と前月から3500万ブッシェル(89万トン)上方修正されたものの、前年度からかなりの程度減少すると見込まれている。
 消費量は、120億2500万ブッシェル(3億545万トン、同3.7%減)と前月から2500万ブッシェル(64万トン)上方修正されたものの、前年度からやや減少すると見込まれている。内訳を見ると、飼料など向けが2500万ブッシェル(64万トン)上方修正され、エタノール向けは前月から据え置かれた。
 輸出量は、21億5000万ブッシェル(5461万トン、同13.0%減)と前月から据え置かれ、前年度からかなり大きく減少すると見込まれている。
 この結果、期末在庫は、増産を背景に前月から1000万ブッシェル(25万トン)上方修正されたものの、11億8200万ブッシェル(3001万トン、同14.2%減)と、引き続き前年度をかなり大きく下回ると見込まれている。
 また期末在庫率(総消費量に対する期末在庫量)は8.3%(同0.9ポイント減)と、前月と変わらず8%台前半にまで低下すると予測されている。
 生産者平均販売価格は、1ブッシェル当たり6.80米ドル(1015円。1キログラム当たり40.0円:1米ドル=149.26円(注2))と前月から据え置かれ、前年度からかなり大きく上昇し、12/13年度に記録した同6.89米ドル以来の高値が予測されている。
 
(注1)1ブッシェルを約25.401キログラムとして農畜産業振興機構が換算。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2022年10月末TTS相場。
表2 米国のトウモロコシの需給見通し (2022年10月12日米国農務省公表)
【針ヶ谷 敦子 令和4年11月17日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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