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2022年の鶏肉生産量は過去最高の見込み(カナダ)

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供給管理制度の下で、生産量は増産基調

 米国農務省(USDA)が2022年9月6日に報告したカナダの鶏肉需給に関する報告書によると、22年の鶏肉生産量は137万5000トン(前年比3.0%増)と過去最高になるとしている。同国の鶏肉生産は90年以降増加傾向にあり、新型コロナウイルス感染症(COVID−19)の拡大により、20年には一旦減少に転じたが、その後は需要の回復などにより再び増加傾向で推移している(図)。
 カナダの鶏肉生産は、生産割当(クオータ)に基づき生産する供給管理制度が採用されている。同制度は、国内需要量から輸出入量や在庫量を差し引いた数量を当該年に生産できるクオータとして設定し、そのクオータを州ごとに配分し、さらに州機関を通じて生産者に割り当てられている。これによって、市場の供給量を管理し、生産者価格を合理的な水準で維持できるようにしている。
 生産される鶏肉は大部分がブロイラーであるが、供給管理制度があることから小規模な家族経営が多く、加工部門などとのインテグレーション(垂直統合)は進んでいない。
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輸入は主に関税割当により実施

 カナダでは、供給管理制度を維持する代わりに世界貿易機関(WTO)の関税割当てによる輸入枠の設定が義務付けられている。2022年の輸入枠は3万9800トンとなり、同様に米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)で5万1000トン、TPP11協定で1万9580トンの輸入枠が設定され、これらを合わせると11万380トンとなる。国内の鶏肉生産量が増える中で、22年1〜6月の鶏肉輸入量は8万4100トン(前年同期比9.1%減)となり、22年全体でも前年(18万4000トン)を下回る17万トンと見込まれている。
 輸入先としては、米国が全体の8割以上を占め、次いでブラジル、タイとなっている(表)。関税割当による輸入には、無税または低税率(一時税率)が適用されるが、それを超える分には249%の高税率(二次関税)が課されている。なお、廃鶏の輸入についてはこの対象外になっている。
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鶏肉輸出の半分は再輸出制度が占める

 鶏肉輸出については、再輸出制度(注)によるものが全体の約半分を占めており、その大部分が米国向けとなっている。2022年1〜6月の鶏肉輸出量は6万602トン(前年比14.7%減)と減少し、米国向けが3万4246トン(同16.7%増)となった。その他の通常の輸出では、比較的カナダでは好まれないモモ肉などがフィリピンや台湾向けなどに輸出されている。22年の輸出量は、輸入量が減少していることなどから、年間を通じても前年(13万4000トン)を下回る12万トンと見込まれている。なお、米国はブラジル産鶏肉の輸入を認めていないため、カナダに輸入されたブラジル産鶏肉が再輸出制度により米国に輸出されないよう厳格に管理されている。
 (注)再輸出制度(IREP):輸入された鶏肉の国内市場への流通が禁止され、加工された輸入鶏肉を再輸出することが義務付けられた制度。
 制度上では世界各国との貿易が認められているが、実態としては、ほぼすべての鶏肉が米国から輸入され、その加工品が米国へ輸出されている。

 

消費量は引き続き増加傾向

 鶏肉消費量は、人口増加や民族構成の多様化、健康志向の高まりなどを背景に過去35年間で3倍に増加し、1人当たりの消費量は2000年の31.0キログラムから19年には38.0キログラムまで増加した。20年はCOVID−19の拡大により37.0キログラムと一旦減少に転じたものの、22年は37.5キログラム(前年比1.4%増)と再び増加が見込まれている。また、消費傾向にも変化が生じており、長年、カナダの消費者は、むね肉や手羽先を好む傾向にあったが、近年は食の多様化や人口の民族構成の変化などにより、モモ肉への需要が徐々に高まりつつある。

【伊藤 瑞基 令和4年12月21日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:調査情報部国際調査グループ)
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