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米国農務省による世界のトウモロコシ需給予測(2022年12月)

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世界の期末在庫が5カ月連続下方修正され、3億トンを下回る見込み

 米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)および米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は2022年12月9日、2022/23年度の世界のトウモロコシ需給予測値を更新した(表1)。
 これによると、世界のトウモロコシ生産量は11億6186万トン(前年度比4.5%減)と前月から653万トン下方修正され、前年度をやや下回ると見込まれている。地域別に見ると、ウクライナやロシア、EU、などの生産量が前月から下方修正された。特に、ウクライナでは、ロシアによる侵攻や大雨の影響を受けて主要産地で収穫作業が遅れている。その結果、収穫面積および収量がともに減少し、前月から450万トン下方修正されて2700万トン(同35.9%減)と前年から大幅に減産すると予測されている。
 輸入量は、世界全体で1億7642万トン(同4.1%減)と前月から118万トン下方修正され、前年度からやや減少すると予測されている。地域別に見ると、米国からの輸出量が減少するカナダやメキシコ、フィリピンで前月から下方修正された一方で、干ばつにより作柄の見通しが悪く世界最大の輸入先になると予測されるEUは前月から150万トン上方修正され、2150万トン(同8.7%増)とかなりの程度増加すると見込まれている。
 消費量は、世界全体で11億7055万トン(同2.6%減)と前月から475万トン下方修正され、前年度からわずかな減少が見込まれている。地域別に見ると、EUなどで前月から上方修正されたものの、ウクライナなどで下方修正されたことが影響した。なお、最大の消費国である中国は2億9500万トンと前月から据え置かれた。
 輸出量は、世界全体で1億8163万トン(同10.3%減)と前月から111万トン下方修正され、前年度からかなりの程度減少が見込まれている。地域別に見ると、ウクライナなどで前月から上方修正されたものの、減産の影響を受けたEUやロシアの他、米国などは前月から下方修正された。
 この結果、期末在庫は3億トン割れとなる2億9840万トン(同2.8%減)と前月から236万トン下方修正され、前年度からわずかな減少が見込まれている。
表1 主要国のトウモロコシの需給見通し(2022年12月9日米国農務省公表)

米国輸出量が下方修正され、期末在庫率は8.9%まで上昇

 USDA/WAOBは2022年12月9日、2022/23年度(9月〜翌8月)の米国のトウモロコシ需給見通しを更新した(表2)。
 生産量は、139億3000万ブッシェル(3億5384万トン(注1)、前年度比7.6%減)と前月から据え置かれ、前年度からかなりの程度減少すると見込まれている。
 消費量は、120億2500万ブッシェル(3億545万トン、同3.7%減)と前月から据え置かれ、前年度からやや減少すると見込まれている。なお、用途別の内訳についても前月から据え置かれた。
 輸出量は、20億7500万ブッシェル(5271万トン、同16.0%減)と前月から7500万ブッシェル(191万トン)下方修正され、前年度から大幅に減少すると見込まれている。米国産は、他国よりトウモロコシ価格が高く、12月初旬までの販売や出荷が低調な状況である。
 この結果、期末在庫は、輸出量の減少を背景に前月から7500万ブッシェル(191万トン)上方修正されたものの、12億5700万ブッシェル(3192万トン、同8.7%減)と、引き続き前年度をかなりの程度下回ると見込まれている。
 また期末在庫率(総消費量に対する期末在庫量)は8.9%(同0.3ポイント減)と、前月から上方修正されたものの、依然として前年度を下回ると予測されている。
 生産者平均販売価格は、1ブッシェル当たり6.70米ドル(937円。1キログラム当たり36.9円:1米ドル=139.87円(注2))と前月から下方修正されたが、前年度からかなり大きく上昇し、高値が予測されている。
 
(注1)1ブッシェルを約25.401キログラムとして農畜産業振興機構が換算。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2022年11月末TTS相場。

 
表2 米国のトウモロコシの需給見通し (2022年12月9日米国農務省公表)
【針ヶ谷 敦子 令和4年12月23日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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