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米農務省、学校給食における砂糖などの使用量削減を提案(米国)

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 米国農務省(USDA)は2023年2月3日、学校給食の栄養基準に関する修正案を発表した。本修正案では、学校給食における砂糖や塩の使用量削減や、全粒穀物製品の使用割合を高めることを提案しており、特に政府が学校給食の砂糖使用量を制限するのは、初めてとされている。USDAは、4月10日までパブリックコメントを実施する。
 新基準案では、学校給食をUSDAの最新の食事ガイドラインに沿った、より健康的な内容とすることを求めている。適用されれば、学校給食で提供されるシリアル、ヨーグルト、フレーバーミルク(注)といった、砂糖を含む製品が制限されることになる。USDAは、学校給食における砂糖の使用量を25年から段階的に減らし、27年秋には、砂糖による摂取カロリーを総カロリーの10%未満に抑えることを提案している。さらに、フレーバーミルクについては、砂糖使用量を8オンス(約237ミリリットル)当たり10グラム以下に抑える必要があるとしている。
 USDAはフレーバーミルクの提供について、引き続き提供を行う選択肢と、9年生から12年生(日本の中学3年生から高校3年生に相当)の生徒についてのみ提供し、それ以外の低学年には低脂肪乳または無脂肪乳に選択肢を限定する案を提示しており、関係者に意見を求めている。現地報道によると、給食の対象となる生徒が約30万人にも及ぶ中で、一部の事業者は製品の砂糖使用量を減らすために、再び成分設計を行う必要が生じるとしている。
 
(注)チョコレートなどの甘味料で味付けされたミルク飲料。米国の学校給食で一般的に提供されている。

業界団体は好感の立場も、乳製品の選択を制限する案に懸念を表明

 全米生乳生産者連盟(NMPF)と国際乳食品協会(IDFA)は同日、共同声明を発表した。声明の中で両団体は、牛乳および乳製品が学校給食で引き続き重要な栄養源と位置づけられていることから、基本的に好意的に受け止めている。しかし、NMPFのマルハーン会長は「子供が乳製品を自由に選択できないのは疑問だ」として、乳製品の需要減少につながる提案に懸念を表明した。両団体は、現在基準の内容を精査しており、後日正式にコメントを行うこととしている。
【小林 大祐 令和5年2月15日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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