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23年初の豚肉の買入れを実施(中国)

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 中国国家発展改革委員会(以下「発改委」という)など関係機関は2023年2月24日、国家備蓄制度による豚肉の買入れ(2万トン)を実施した。
 中国では、22年9月から11月にかけて、高騰する豚肉価格に対応するため、「政府の豚肉備蓄調整メカニズムを改善し、豚肉市場の供給と価格の安定を図る準備計画」(注1)に基づく豚肉の市場放出を複数回実施してきた。しかし、11月以降、生体豚価格が急落し、豚肉買入れの警報基準となる豚/穀物比が過度な価格下落の警報水準(第1級警報基準)(注2)を割り込んだ状況を受け、22年6月以来、約8カ月ぶりとなる豚肉買入れの実施となった(図1、2)。発改委などは、地方政府に対しても豚肉の買入れを実施するよう指導している。 
 発改委によると、豚/穀物比は、22年の10月下旬に9.66:1とピークを迎えた後、生体豚価格の急激な下落に伴い急落した。同年12月に損益分岐点とされる7:1を割り込み、23年2月には第一級警報水準とされる5:1を割り込んだ。
 豚肉の需給動向について現地関係者によると、22年下半期の価格高騰に対応するため、大手生産者は安定的な出荷に努めた一方で、中小規模の一部生産者では価格続伸の期待から出荷の先延ばしが行われたとされる。その最中に生体豚価格が下落に転じたことで、価格下落の懸念を抱いたこれら生産者からの出荷が集中したことが、より一層の価格急落を招くことになったとされている。加えて新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する規制緩和により、同年12月は感染者が急増したため、豚肉需要が一時的に減少したことも一因とされている。例年は春節に向けた需要の高まりから価格は上昇傾向となるが、今年はこれを上回る供給となったことで下落に歯止めがかからなかったとみられている。
 今回の買入れの実施により、3月上旬の豚/穀物比は5.42:1と第一級警報水準を脱し、現在は5:1台で推移している。また、最近ではCOVID−19の新規感染者数が減少したことで、外食を含めた豚肉需要が回復しつつあることも寄与しているとみられる。
図1生体豚価格の推移
図2豚穀物比の推移
(注1)「完善政府猪肉儲備調節机制 做好猪肉市場保供穏价工作預案」2021年第770号公告)を指す。なお、詳細は海外情報「豚肉価格下落を受けて国家備蓄のための豚肉の買入・保管を開始(中国)」を参照されたい。

(注2)政府による養豚生産者の収益性の指標値である「豚/穀物比」における警報基準を指す。同比の算出方法は、1キログラム当たり生体豚出荷価格/1キログラム当たりトウモロコシ卸売価格で、損益分岐点は7:1とされている。
  • 第1級警報基準比  : 5:1未満
  • 第2級警報基準比  : 第3級の状態が三週間以上継続
  • 第3級警報基準比  : 5:1以上6:1未満
  • 基準比(損益分岐点): 7:1
【海老沼 一出 令和5年3月16日発】
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