畜産 畜産分野の各種業務の情報、情報誌「畜産の情報」の記事、統計資料など

ホーム > 畜産 > 海外情報 > 2023年 > 米国農務省による世界のトウモロコシ需給予測(2023年3月)

米国農務省による世界のトウモロコシ需給予測(2023年3月)

印刷ページ

ブラジルと米国の輸出量の差が拡大し、5000万トンを見込む

 米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)および米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は2023年3月8日、2022/23年度の世界のトウモロコシ需給予測値を更新した(表1)。
 これによると、世界のトウモロコシ生産量は11億4752万トン(前年度比5.6%減)と前月から384万トン下方修正され、前年度をやや下回り、20/21年度の水準に近づくものと見込まれている。地域別に見ると、インドやパラグアイなどが増産により上方修正されたものの、主産地のアルゼンチンは、2月から3月上旬にかけて猛暑と干ばつが続いたことで減産が見込まれ、前月から700万トン下方修正されている。
 輸入量は、世界全体で1億7448万トン(同5.4%減)と前月から252万トン下方修正され、前年度からやや減少すると予測されている。地域別に見ると、トルコでは収穫量の増加が見込まれることから、また、マレーシア、モロッコ、チリ、コロンビア、ペルーといった輸入国に対し、アルゼンチンからの輸入量の減少が見込まれることで前月から下方修正された。
 消費量は、世界全体で11億5675万トン(同3.9%減)と前月から562万トン下方修正され、前年度からやや減少すると見込まれている。地域別に見ると、最大の消費国である中国は前月から据え置かれ、インドが前月から上方修正されたものの、エジプトやインドネシアなどが前月から下方修正された。
 輸出量は、世界全体で1億7471万トン(同15.1%減)と前月から636万トン下方修正され、前年度からかなり大きく減少し、20/21年度の水準も下回と予測されている。地域別に見ると、ブラジル、インド、ウクライナなどが前月から上方修正されたものの、減産の影響を受けたアルゼンチンやアメリカは前月から下方修正された。ブラジルは、アルゼンチンや米国の下方修正を受け、前月に引き続き世界最大の輸出国である米国を上回る5000万トン(同3.1%増)が見込まれている。
 この結果、期末在庫は2億9646万トン(同3.0%減)と前月から118万トン上方修正されたものの、前月に引き続き3億トンを下回ると見込まれている。
表1 主要国のトウモロコシの需給見通し(2023年3月8日米国農務省公表)

米国の輸出量は前月から下方修正され、期末在庫は若干回復

 USDA/WAOBは2023年3月8日、2022/23年度(9月〜翌8月)の米国のトウモロコシ需給見通しを更新した(表2)。
 生産量は、137億3000万ブッシェル(3億4876万トン(注1)、前年度比8.9%減)と前月から据え置かれ、前年度からかなりの程度減少すると見込まれている。
 消費量も、前月と据え置きの119億6500万ブッシェル(3億392万トン、同4.2%減)と、前年度からやや減少すると見込まれている。用途別に見ると、飼料など向けの利用の減少が見込まれている。
 輸出量は、18億5000万ブッシェル(4699万トン、同25.1%減)と前月から191万トン下方修正され、前年度から大幅に減少すると見込まれている。
 この結果、期末在庫は、13億4200万ブッシェル(3408万トン、同2.5%減)と前月から7500万ブッシェル(191万トン)上方修正されるものの、前年度をわずかに下回ると見込まれている。
 また、期末在庫率(総消費量に対する期末在庫量)は、9.7%(同0.5ポイント増)と前月から若干回復し、前年度を上回ると予測されている。
 生産者平均販売価格は、1ブッシェル当たり6.60米ドル(906円。1キログラム当たり35.7円:1米ドル=137.33円(注2))と前月から下方修正されたものの、前年度からかなりの程度上昇し、引き続き高値が予測されている。
 
(注1)1ブッシェルを約25.401キログラムとして農畜産業振興機構が換算。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年2月末TTS相場。
表2 米国のトウモロコシの需給見通し (2023年3月8日米国農務省公表)
【水野 崇 令和5年3月17日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部  (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-4396