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メキシコ政府、ブラジル産牛肉の輸入を解禁(メキシコ)

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 メキシコ政府は3月6日、ブラジル産牛肉の輸入に係る家畜衛生条件を公表し、同国からの牛肉・牛肉製品の輸入を解禁した。
 国際獣疫事務局(OIE)はブラジルのサンタカタリーナ州を「ワクチン非接種口蹄疫清浄地域」、バイーア州、エスピリトサント州、リオデジャネイロ州などの14州・地区に「ワクチン接種口蹄疫清浄地域」のステータスを付与しており、メキシコ政府はこのステータスに基づきブラジル産牛肉の輸入条件をそれぞれ定めた。具体的には、サンタカタリーナ州内で出生、飼養、と畜された牛に由来する牛肉および仔牛肉については、冷蔵肉、冷凍肉、骨付き肉、骨なし肉の輸入を認め、14州・地区内の牛肉および仔牛肉については、と畜後に十分な熟成処理と脱骨処理がなされたもののみの輸入に限定した。
 なお、ブラジル地理統計院(IBGE)によると、2021年の牛飼養頭数はサンタカタリーナ州が454万1890頭(ブラジル全体に占める割合2.0%)、14州・地区が1億7113万4012頭(同76.2%)である(表1)。
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 メキシコ政府によるブラジル産牛肉の輸入解禁の背景には、メキシコ国内で進行している牛肉を含む食肉価格の高騰を抑える狙いがある。同国のオブラドール大統領は、インフレによる食料品価格の高騰を抑制するため、食料品の積極的な輸入を打ち出していた。
 今回の輸入解禁に際しメキシコ農業・農村開発省(SADER)は、ブラジルが今年2月末に報告した非定型BSEの感染確認についても触れ、当該感染事例は「非定型」であり感染性がないこと、ブラジルはOIEによるBSEステータス「無視できるBSEリスク」を維持していることを説明することで安全性を強調している。
 米国農務省(USDA)が22年9月に公表した「メキシコにおける畜産および畜産物年次報告」によると、メキシコでは新型コロナウイルス感染症の拡大(パンデミック)により影響を受けていた観光業界やホテル・レストラン業界からの需要回復に伴い牛肉価格が高騰し、消費抑制が働いているという(図)。一方で、国際的な牛肉価格の高騰を受け、同国からの牛肉輸出量を増やしていることも国内需給のひっ迫につながっており、輸入によって供給を補う必要があるとしている(表2)。
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【調査情報部 令和5年3月20日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:調査情報部国際調査グループ)
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