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米国農務省による世界の大豆需給予測(2023年5月)

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23/24年度は南米の生産増などから生産量、輸出量ともに増加見込み

 米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)および米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は2023年5月12日、2023/24年度最初の世界の大豆需給予測値を更新した(表)。
 これによると、同年度の世界の生産量は4億1059万トン(前年度比10.8%増)とかなりの増加が見込まれている。このうち、最大の生産国であるブラジルは1億6300万トン(同5.2%増)と前年度に続き過去最大の生産量が見込まれている。これに次ぐ米国は、作付面積は前年度同ながらも単収の増加見込から1億2274万トン(5.5%増)、アルゼンチンは乾燥気候の影響で減産となった前年度からの回復見込みから4800万トン(同77.8%増)とされた。さらに中国も、政策による大豆生産の振興を受けて2050万トン(1.1%増)と見込まれている。
 輸入量は、世界全体で1億6977万トン(同2.8%増)とわずかな増加が見込まれている。このうち、最大の輸入国である中国は、国内生産の増加を上回る需要により1億トン(同2.0%増)と見込まれている。
 消費量(搾油仕向け)は、世界全体で3億3231万トン(同6.1%増)とかなりの増加が見込まれている。このうち、最大の消費国である中国は、搾油向け需要の回復などから9500万トン(同4.4%増)と見込まれている。
 輸出量は、世界全体で1億7241万トン(同2.4%増)とわずかな増加が見込まれている。このうち、最大の輸出国であるブラジルは生産量の増加を受けて9650万トン(同3.8%増)とされたが、これに次ぐ米国は5375万トン(同2.0%減)と減少が見込まれている。
 この結果、期末在庫は1億2250万トン(同21.2%増)と大幅な増加が見込まれている。
 今回の予測では、ブラジルやアルゼンチンの生産が増加する中で、輸出量や消費量も増加とされたが、市場関係者の当初予想を上回る期末在庫であることから、USDAは生産者販売価格を1ブッシェル当たり12.10米ドル(前年度比14.8%安)に引き下げている。しかし、今回の予測では、天候条件が通常または好天と想定されているため、今後の状況変化による生産量や輸出量への影響に注視する必要がある。
表 主要国の大豆需給見通し(2023年5月12日 米国農務省公表)
【横田 徹 令和5年5月18日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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