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バターの取引価格が8カ月ぶりの5000米ドル台を記録(NZ)

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 2023年5月16日に開催されたGDT(注1)の1トン当たりの平均取引価格(全乳製品の平均)は、3488米ドル(47万1333円:1米ドル=135.13円(注2)、前回比0.5%安)となった。脱脂粉乳やチーズの下落により前回開催(5月2日)から一転、下回る結果となった(表、図1)。
 
(注1)グローバルデイリートレード。月2回開催される電子オークションで、当該価格は乳製品の国際価格の指標とされている。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年4月末TTS相場。
 
図1_GDTの乳製品取引価格と総取引数量の推移
表_GDT乳製品取引価格(23年5月開催)
 品目別に見ると、脱脂粉乳は新型コロナウイルス感染症の感染拡大に起因する景気後退が依然として尾を引き、中国を中心とする北アジアからの引き合いが弱かったことを受け、同2766米ドル(37万3770円前回比0.8%安)とわずかに下落した。全粉乳は北アジアからの引き合いが弱まったものの、東南アジアや中東からの需要に牽引されたことで同3244米ドル(43万8362円同0.4%高)とわずかに上昇した。また、バターは北アジアをはじめ、東南アジアや中東からの引き合いが強まったことで同5068米ドル(68万4839円同2.4%高)と、22年9月以来、8カ月ぶりに5000米ドル台越えとなった。一方、チーズは北アジアからの引き合いが強まったものの、東南アジアやEUからの引き合いが弱まったことで同4407米ドル(59万5518円同3.4%安)とやや下落した。
 今回のGDTの結果を受けて、豪州4大銀行の一つであるウェストパック銀行のエコノミストは、「世界の乳製品供給が軟調に推移すると見込まれる中、23年に(コロナ関連規制の撤廃による消費拡大を受けて)中国の乳製品需要が勢いを増し、特にバターの価格は年内に2割程度上昇する」と予想している。また、オランダの農協系金融機関であるラボバンクのエコノミストは、「特に全粉乳と脱脂粉乳の価格は22年のピークから3〜4割程度下落し、現在は過去5年間の平均価格以下の水準にあり、最終的な乳製品価格の反騰のタイミングは中国の輸入にかかっている」と分析している。
【工藤 理帆 令和5年5月31日発】
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