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米国農務省による世界および米国のトウモロコシ需給予測(2023年6月)

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ウクライナの増産見込みなどから、期末在庫はやや増加

 米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)および米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は2023年6月9日、2023/24年度の世界のトウモロコシ需給予測値を公表した(表1)。
 これによると、世界のトウモロコシ生産量は12億2277万トン(前年度比6.3%増)と前月から314万トン上方修正され、前年度をかなりの程度上回り、過去最高が見込まれている。地域別に見ると、米国やブラジルなど主要生産国がいずれも前月から据え置かれた中で、ウクライナは同国政府が作付面積および生産量の増加見込みを発表したことを踏まえ、前月から250万トン上方修正された。
 輸入量は、EUで需要増に対し生産の低迷による輸入増が反映されることで、世界全体で1億8700万トン(同6.8%増)と前月から250万トン上方修正された。
 消費量は、世界全体で12億635万トン(同3.7%増)と前月から221万トン上方修正され、過去最高が見込まれている。地域別に見ると、米国や中国など主要消費国がいずれも前月から据え置かれた中で、EUは需要の増加見込により前月から200万トン上方修正された。
 輸出量は、増産が見込まれるウクライナが前月から250万トン上方修正されたことを反映し、世界全体で1億9776万トン(同12.0%増)と前月から250万トン上方修正された。
 この結果、期末在庫は3億1398万トン(同5.5%増)と前月から108万トン上方修正され、前年度からやや増加すると見込まれている。
 例年、6月公表の需給予測値では、大きな修正が行われない傾向にあるが、今回の予測では、22/23年度の米国の輸出量が127万トン下方修正されたことなどから期末在庫が上方修正され、23/24年度の期末在庫に反映される形となった。一方で、中国農業農村部が同日に公表した23/24年度のトウモロコシ需給見通しによると、生産量はUSDA予測値をわずかに上回る2億8234万トン、輸入量はこれを下回る1750万トンとされている。このため、トウモロコシの国際相場に影響する今後の同国の需給動向次第では、期末在庫のさらなる上乗せも想定される。
表1 主要国のトウモロコシの需給見通し(2023年6月9日米国農務省公表)

22/23年度の輸出量の下方修正などから、23/24年度の期末在庫は増加

 米国農務省世界農業観測ボードUSDA/WAOBは2023年6月9日、2023/24年度(9月〜翌8月)の米国のトウモロコシ需給見通しを公表した(表2)。
 生産量は、152億6500万ブッシェル(3億8775万トン(注1)、前年度比11.2%増)と前月から据え置かれ、前年度からかなり大きく増加し、過去最高が見込まれている。
 消費量は、123億8500万ブッシェル(3億1459万トン、同3.6%増)と前月から据え置かれ、前年度からやや増加すると見込まれている。
 輸出量は、21億ブッシェル(5334万トン、同21.7%増)と前月から据え置かれ、前年度から大幅に増加すると見込まれている。
 期末在庫は、22/23年度の輸出量が5000万ブッシェル(127万トン)下方修正されたことなどから期末在庫が上方修正され、23/24年度に反映される形となり、22億5700万ブッシェル(5733万トン、同55.4%増)と前年度から大幅に増加し、16/17年度以来の高水準が見込まれている。
また、期末在庫率(総消費量に対する期末在庫量)は、15.6%(同5.0ポイント増)と前月から0.3ポイント上方修正され、前年度を大幅に上回る水準が予測されている。
 生産者平均販売価格は、1ブッシェル当たり4.80米ドル(676円。1キログラム当たり26.6円:1米ドル=140.77円注2、同27.3%安)と前月から据え置かれ、前年度から大幅に下落すると見込まれている。
 
(注1)1ブッシェルを約25.401キログラム、1エーカーを0.4047ヘクタールとして農畜産業振興機構が換算。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年5月末TTS相場。
表2 米国のトウモロコシの需給見通し(2023年6月9日米国農務省公表)
【峯岸 啓之 令和5年6月16日発】
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農畜産業振興機構 農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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