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米国農務省による世界および米国のトウモロコシ需給予測(2023年7月)

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米国などの増産見込みを受けて期末在庫は前年度からかなりの程度増加

 米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)および米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は2023年7月12日、2023/24年度の世界のトウモロコシ需給予測値を公表した(表1)。
 これによると、世界のトウモロコシ生産量は12億2447万トン(前年度比6.4%増)と前月から170万トン上方修正され、前年度をかなりの程度上回り、過去最高が見込まれている。地域別に見ると、EUでは作付面積の減少を受けて生産量が下方修正された一方で、米国では当初予測を上回る作付面積の増加が乾燥による単収の減少を補うことで増産が見込まれている。
 輸入量は、世界全体で1億8840万トン(同7.6%増)と前月から140万トン上方修正された。地域別に見ると、生産量が前月から下方修正されたEUは、需要増を背景に150万トン上方修正され、その結果、中国を抑えて世界最大のトウモロコシ輸入地域になると見込まれている。
 消費量は、世界全体で12億665万トン(同3.6%増)と前月から30万トン上方修正され、過去最高が見込まれている。地域別に見ると、米国や中国など主要消費国がいずれも前月から据え置かれた中で、EUは前月から60万トン上方修正された。
 輸出量は、生産量が前月から上方修正されたウクライナの輸出量の増加などが反映され、世界全体で1億9826万トン(同12.3%増)と前月から50万トン上方修正された。
 この結果、期末在庫は3億1412万トン(同6.0%増)と前月から14万トン上方修正され、前年度からかなりの程度増加すると見込まれている。
表1 主要国のトウモロコシの需給見通し(2023年7月12日米国農務省公表)

23/24年度の作付面積は1944年以来3番目の拡大見込み

 USDA/WAOBは併せて、2023/24年度(9月〜翌8月)の米国のトウモロコシ需給見通しを公表した(表2)。
 生産量は、作付面積の上方修正を受けて、153億2000万ブッシェル(3億8914万トン(注1)、前年度比11.6%増)と前月から5500万ブッシェル(140万トン)上方修正され、過去最高が見込まれている。
 消費量は、123億8500万ブッシェル(3億1459万トン、同2.5%増)と前月から据え置かれ、前年度からわずかに増加すると見込まれている。
 輸出量は、21億ブッシェル(5334万トン、同27.3%増)と前月から据え置かれ、前年度から大幅に増加すると見込まれている。
 期末在庫は、22億6200万ブッシェル(5746万トン、同61.3%増)と前月から微増、また、前年度から大幅に増加し、16/17年度以来の高水準が見込まれている。
 また、期末在庫率(総消費量に対する期末在庫量)は、15.6%(同5.4ポイント増)と前月から据え置かれ、前年度を大幅に上回る水準が予測されている。
 生産者平均販売価格は、生産量が上方修正されたものの1ブッシェル当たり4.80米ドル(701円。1キログラム当たり27.6円:1米ドル=145.99円(注2)、同27.3%安)と前月から据え置かれたが、増産見込みや期末在庫の回復などを背景に前年度からは大幅に下落すると見込まれている。
 今回の作付面積の上方修正は、米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が6月30日に公表した調査結果に基づいており、9410万エーカー(3808万ヘクタール)は1944年以来、米国で3番目となる広さと言われている。一方で、6月のトウモロコシ主産地域の降水量は平年より極端に減少したことなどから、単収は前月から下方修正された。7月に入り、降雨や気温の低下なども見られ、今後、重要な受粉の時期を迎える中で、引き続き産地の天候が注目されている。
 
(注1)1ブッシェルを約25.401キログラム、1エーカーを0.4047ヘクタールとして農畜産業振興機構が換算。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年6月末TTS相場。
表2 米国のトウモロコシの需給見通し(2023年6月9日米国農務省公表)
【針ヶ谷 敦子 令和5年7月19日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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