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スペイン、豚繁殖・呼吸障害症候群の発生により子豚の輸入を拡大(EU)

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 スペインの主要養豚地域で豚繁殖・呼吸障害症候群(PRRS:Porcine reproductive and respiratory syndrome)が発生し、子豚の産子数が減少したことから、2023年に入り同国の子豚輸入頭数が大幅に増加している。
 スペインの子豚輸入頭数は23年1月以降大幅に増加し、同年1〜4月の累計では前年同期比41%増となった。1頭当たり輸入価格が同85%高と高騰する中での大量の輸入となった。輸入先の内訳を見ると、最大となるオランダからの輸入頭数が同34%増、第2位のベルギーは同4.4倍と大幅に増加した。
図 スペインの子豚輸入頭数および輸入価格

豚と畜頭数の減少

 2023年1〜3月のスペインの豚と畜頭数は1404万頭(前年同期比9.6%減)とかなりの程度減少した。一方、母豚の飼養頭数は、21年12月時点で271万頭(前年同月比1.7%増)、22年6月時点で270万頭(同0.2%増)、同年12月時点では269万頭(同0.8%減)と大きな減少はみられないことから、PRRSが母豚1頭当たりの産子数の減少に影響を及ぼしているとみられる。
 影響が大きかったのはスペインの主要生産地域である北東部であり、流産や死産、母豚の死亡率の増加や1頭当たり離乳頭数の減少、飼料効率の悪化といった問題が生じたとされている。
 ただし、23年4月の子豚輸入頭数の増加率は、前年同月比10.8%増と同年1〜3月の増加率(同38%〜72%)に比べ低下しており、PRRSの影響は徐々に緩和傾向にあるとみられる。引き続き他の欧州加盟国への拡大の可能性も含め、スペインのPRRSの状況が注視されている。
【調査情報部 令和5年8月3日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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