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中国農業農村部、動物用薬品の品質および残留、薬剤耐性などに関する計画を公表(中国)

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 中国農業農村部は2024年2月5日、畜産業の安全、動物由来食品の安全性および公共衛生安全などの維持を目的として、次の3つの計画(以下「3計画」という)を公表した。
  • 2024年動物用薬品の品質監督・サンプル検査およびリスク監測(注1)に関する計画
  • 2024年家畜・家きん産品における動物用薬品の残留監視に関する計画
  • 2024年動物由来細菌の薬剤耐性監視に関する計画
 (注1)「監測」には、検査・測定を行うことのほか、その結果が不適切であった場合の対応(行政処分等)やこれらを定期的に実施することなどの意味が含まれる。多義語のため原文の通りとした。

3計画の位置付け

 これら3計画は、「動物用薬品管理条例」(注2)(日本の政令に相当。2004年制定)によって規律される動物用薬品について、生産現場での利用状況や加工食品中の薬品・薬剤の残留の有無などの検査・監督、さらには、不適切な薬品を発見した場合には、関係する動物用薬品製造企業にさかのぼって指導・監督することなどを示したものである。
 (注2)「動物」には、家畜・家きんのほか、養殖魚、蜂、蚕などが含まれる。

 3計画の主な内容は、検査・監督を実施する行政機関に対する中国農業農村部の指示内容(例えば、サンプル検査の実施数など)が中心であり、毎年1月から2月の間に、「計画の策定に関する農業農村部通知」により公表されている。ただし、3計画が同じ農業農村部通知によって公表されるようになったのは、23年からである。その背景には、以前は3計画の実施機関である中国農業農村部畜牧獣医局(以下「畜牧獣医局」という)と中国獣医薬品監督所、さらには地方の農業農村部門と動物用薬品検査機関との間で、個々の権限・責務関係が一部不明瞭であったためと推測される(注3)
 (注3)中国獣医薬品監督所の責務について、2023年の「3計画策定についての通知」で初めて、畜牧獣医局の要請に基づく不適切な薬品に関係する動物用薬品製造企業の調査・監督を行うことが明記され、24年にはさらに、畜牧獣医局の承認を得た上で動物用生物学的製剤の品質管理に関する業務を実施することが初めて明記された。

3計画実施に当たっての「4つの要求」

 今回の農業農村部通知では、3計画の実施に当たっての「4つの要求」が明記されている。その主な内容は以下の通りである。

(1)実施経費の確保
 各省(地方政府)の農業農村部門は、動物用薬品の品質に関するサンプル検査・フォロー検査、残留に関する検査および動物由来細菌の薬剤耐性検査に必要な業務経費を確保し、もって、監督責任を果たすとともに、業務の実効性を確保すること。

(2)関係機関の協力
 3計画の実施に関係する機関は、それぞれがその責務を遂行するとともに、密に協力し、地域間、部門間それぞれの連絡・協力体制を整備するほか、通報への対応の体制、薬品などの生産地・販売地が相互に協力する体制、複数の省などが連携して事案に対処する体制を整備し、情報と検査能力などの資源の共有によって協力関係を形成すること。

(3)技術研修の強化
 各省の農業農村部門は、動物用薬品品質監督・サンプル検査管理弁法(日本の省令に相当)を厳格に遂行し、サンプル抽出人員および検査人員に対する技術研修を強化するとともに、サンプル抽出・検査業務のさらなる規範化を進め、監督業務の合法性、真実性、科学性および公正性を確保すること。

(4)情報伝達・報告の強化 
 各省の農業農村部門と動物用薬品検査機関は、動物用薬品の品質監督などの計画の実施状況については四半期ごとに、また、その他2計画の実施状況については半年ごとに報告すること(結果は畜牧獣医局により公表される)。また、動物用薬品については、検査結果のほか、偽物品やQRコードが付与されていない商品などの情報を、「動物用薬品サンプル検査情報プラットフォーム」(注4)に登録すること。
 (注4)中国では行政のデータベース整備が進んでおり、動物用薬品についても中国獣医薬品監督所が管理する「動物用薬品政策情報管理プラットフォーム」(??政?信息系?管理平台 (http://www.ivdc.org.cn/xxgk/syzwglpt/))により、薬品情報、薬品企業情報、薬品登録審査状況などの各種情報を検索・閲覧することができる。

(参考)関係政府機関の役割分担

 3計画の実施に当たり、農業農村部通知で関係政府機関の役割も明記されている。

(1)中国農業農村部畜牧獣医局
 同局は3計画の制定および実施を担う。動物用薬品のサンプル検査結果の定期報告のほか、検査結果およびそのリスク分析結果に基づき、フォロー調査を実施する。また、3計画の実施状況および監視結果についてリスク分析を行い、関連する政策提言を取りまとめる。

(2)中国獣医薬品監督所
 同所は動物用生物学的製剤の監督・サンプル検査およびリスク分析の実施について、案を策定し、畜牧獣医局の承認を得て、関連の業務を実施する。具体的には、動物用生物学的製剤の品質監督を行うほか、各省(地方政府)の動物用薬品検査機関に対する品質検査の実施指示、畜牧獣医局が実施するフォロー調査関連業務のほか、動物用薬品の監督・サンプル検査などの実施機関の検査能力の確認、動物用薬品の残留監視や動物由来細菌の薬剤耐性監視に関する技術指導、監視データバンクの整備、維持などを行う。

(3)各省の農業農村部門
 所管地域における3計画の制定および実施を担う。畜牧獣医局が定める動物用薬品のサンプル検査数を下回らないよう検査を行うほか、動物用薬品の残留が判明した産品の調査、動物由来細菌の薬剤耐性監視実施機関への監視協力、これら業務の過程で発見した偽物または劣悪な動物用薬品に関する業務(例えば、畜牧獣医局への速やかな報告や「動物用薬品サンプル検査情報プラットフォーム」への登録)などを行う。

(4)各省の動物用薬品検査機関・薬剤耐性監視実施機関
 3計画が定める所管地域に関する動物用薬品の検査業務のほか、動物用生物学的製剤の検査能力を有する機関では当該製剤の検査業務を実施する。また、動物用薬品の残留検査や動物由来細菌の薬剤耐性検査、その他検査に必要な業務を実施するとともに、検査結果を速やかに各省の農村農業部門に報告する。
【調査情報部 令和6年2月13日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-9530