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米国農務省、食肉などの米国原産地表示に関する規則を改正(米国)

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 米国農務省(USDA)は3月18日、食肉、家きん肉および家きん卵製品を対象とした「米国原産(Product of USA)」および「米国製造(Made in the USA)」の規則を改正した。
 従来の規則では、他国で産出、飼養、と畜、加工された家畜および家きんに由来する食肉、家きん肉および家きん卵製品であっても、USDA認証施設で再加工・再包装された場合には米国で生産された製品であるとみなされ、米国原産などの表示が可能であった。
 全米肉牛生産者・牛肉協会(NCBA)、米国肉用牛生産者協会(USCA)および米国グラスフェッド協会(AGA)といった主要な肉用牛生産者団体は、連邦法(注1)では、食肉、家きん肉および家きん卵製品について、原産地表示も含め、虚偽表示あるいは誤解を招く表示を禁止している中で、消費者が重視する原産地について誤解を与えかねないとして、規則の見直しを要望していた。これを受けてUSDAは、2021年7月に規則の見直しを表明し、23年3月には規則の改正案を公表していた(注2)。そして今般、パブリックコメントの実施を経て、規則の改正に至った。
(注1)連邦食肉検査法(FMIA)、連邦食鳥製品検査法(PPIA)および連邦卵検査法(EPIA)。
(注2)詳細は「【海外情報】米国農務省、米国原産表示に関する規則案を発表(米国)(令和5年4月24日発)」を参照されたい。

1 改正後の米国原産地表示の規定内容

(1)米国原産地表示の要件
  改正後の連邦規則集「9 CFR PART 412」では、米国内で産出、飼養、と畜、加工された家畜および家きんに由来する食肉、家きん肉および家きん卵製品のみに「米国原産(Product of USA)」および「米国製造(Made in the USA)」と表示することが認められた。また、米国国旗を製品などに表示する場合も同様の要件を満たさなければならない。当該表示は任意であり、「一般的な承認(注3)」の下で使用することができる。つまり、当局への申請・承認手続きは不要であり、根拠書類の保管と必要に応じた当局への提出が求められる。
(注3)連邦規則集「9 CFR PART 412」では、製品名、取り扱い説明、成分表示、製造・包装・販売事業者の名称および住所などの義務的表示は「一般的に承認された表示」であるとして、当局への申請・承認手続きは不要とされている。
(2)複数成分製品の要件
  改正後の原産地表示の規定は、食肉、家きん肉および家きん卵を原料に含む複数成分製品も対象とされた。複数成分製品に用いられる食肉、家きん肉および家きん卵は(1)米国内で産出、飼養、と畜、加工されたものであること、(2)香辛料および調味料以外の原料もすべて国内産であること、(3)製品の調整および加工も米国内で行われたものであることが求められる。
(3)その他の任意の米国原産地表示
  「米国原産(Product of USA)」および「米国製造(Made in the USA)」以外の任意の表示については、「一般的な承認」の下で使用することが認められる。ただし、生産、調整または加工のうち、どの過程が米国内で行われたかについて、併記することが求められる。
(4)他の原産地表示
  米国の各州および各準州の原産地表示を使用する場合も当該要件に準ずることとされた。

2 規則改正に対する畜産業界の反応

 主要肉用牛生産者団体であるNCBA、USCA、AGAの他、全米農業生産者連盟(NFU)は、USDAによる規則の改正を称賛した。NCBAは、サプライチェーンの末端で輸入牛肉に米国原産地表示が使用されていることを指摘し、その解決に向けて尽力し続けた結果であるとしつつ、USDAの尽力にも謝意を表明した。
 また、規則の改正案公表時には不支持を表明していた北米食肉協会(NAMI)も、業界の懸念に対応するための常識的な改正であるとして、会員が規則を遵守できるよう支援していくとしている。
 WTO協定や米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)などの貿易協定の下、米国に対する紛争提起や米国製品の輸出への影響に関する懸念を全米豚肉生産者協議会(NPPC)が表明するなど、貿易への影響を不安視する声も上がっているが、USDAによる規則の改正はおおむね業界の支持を得られたかのようにみられる。
  なお、改正後の規則は24年5月17日に施行されるが、25年12月31日までの移行期間が設けられたため、26年1月1日から要件の遵守が求められる。
写真 米国内スーパーマーケットの食肉製品における原産地表示の例
【調査情報部 令和6年4月8日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-9533