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米食肉業界、食肉消費に関する調査結果を公表(その1:消費者の購買行動)(米国)

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 食肉企業を主要会員とする北米食肉協会(NAMI)および小売企業を主要会員とする食品産業協会(FMI)は3月18日、食肉消費に関する消費者アンケート調査報告書「パワー・オブ・ミート2024」(注1、2、3)を公表した。
 
注1:本アンケート調査は18歳から75歳までの1730人の食肉消費者を対象に実施。
注2:18〜26歳を「Z世代」、27〜42歳を「ミレニアル世代」、43〜58歳を「X世代」、
  59〜75歳を「ブーマー世代」とする。
注3:年間世帯収入4万5000米ドル未満を「低所得層」、4万5000〜7万5000米ドル未満を「中所得層」、
  7万5000〜12万5000米ドル未満を「中高所得層」、12万5000米ドル以上を「高所得層」とする。


 本報告書によると、2023年の食肉製品の小売売上高は前年比0.1%増の991億米ドル(15兆1028億円:1米ドル=152.4円(注4))と前年からほぼ横ばいに推移した(表)。内訳を見ると、生鮮食肉が675億米ドル(10兆2877億円、前年比1.4%増)と増加した一方で、食肉加工品が316億米ドル(4兆8162億円、同2.5%減)と減少した。生鮮食肉の売上高では牛肉が362億米ドル(5兆5172億円)と最高値、販売量では鶏肉が60億ポンド(272万1554トン)と最大値となった。食肉製品全体として、売上高は前年並みとなったものの、販売量は減少した(同1.0%減)。インフレ率は緩やかになったものの食肉価格の高騰は続いており、食肉消費者の購買行動に影響を及ぼしている。

注4:三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年3月末TTS相場。
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 食肉消費者の家計の状況について、1年前との比較、今後1年間の見通しでも「変わらない」とする消費者が最も多かったこと、今後1年間の見通しを楽観視している消費者が比較的多かったことが分かった(図1)。一方で、外食の頻度が減ったとの回答が43%を占め、節約に努める消費者が多く見られた(図2)。
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 食肉購入時に重視することとしては、パッケージ価格の比較および異なる食肉の種類同士の重量単価の比較との回答が多く見られた(図3)。また、食肉購入時に節約する方法としては、購入量の調整の他、食肉の種類の変更や部位・カットの種類の変更との回答が多く見られた(図4)。つまり、パッケージ価格や重量単価を比較しながら、購入量や購入する食肉の種類を決定する傾向がある。
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 購入パッケージサイズの傾向を見ると、大型パックを購入するとの回答が42%と最も多かった(図5)。興味深い点として、中所得層や高所得層は大型パッケージを、若い世代は小型パッケージを購入する傾向にあることが分かる(図6)。食肉購入後の保管方法としては、冷蔵保管が42%、冷凍保管が37%と大きな差は見られなかったが、この点についても所得層や世代によって傾向が異なる傾向がある(図7、8)。Z世代やミレニアル世代といった若い世代ほど冷蔵保管により数日間の食事に利用し、X世代やブーマー世代といった世代では冷凍保管により長期間の食事に利用する傾向があることがわかる。また、中所得層や高所得層では低所得層と比べて、冷凍保管するとの回答がやや多かった。
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 NAMIおよびFMIは、インフレ圧力が、食肉消費者の購買行動に大きな影響を与えていると分析している。特に低所得層への影響が大きい。また、全体的に消費者は食肉購入時には節約に努めており、小売事業者にはキャンペーンの利用などによる集客が必要であるとしている。また、多めに食肉を購入して冷凍保管により長期間の食事に利用する消費者は着実に増加しており、小売事業者における冷凍食肉や冷凍用パッケージの需要創出の機会であるとしている。
【調査情報部 令和6年4月12日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:調査情報部国際調査グループ)
Tel:03-3583-9805