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中国農業農村部、養豚生産能力の調整状況に関し見解を公表(中国)

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 中国農業農村部は4月19日、国務院新聞弁公室主催のメディア向け定例会である「第1四半期農業農村経済状況の紹介会」において、今年3月の「豚生産能力管理調整方策」(以下「方策」という)(注1)の改訂公表後の養豚業の生産能力の調整状況について、記者からの質問に答える形で見解を示した。
 (注1)「豚生産能力管理調整方策」については海外情報『中国農業農村部、豚の飼養頭数調整のための方策を改訂(中国)』(令和6年3月12日発)をご参照ください。

 記者からの質問は、(1)農業農村部が今年3月初めに方策を改訂した中で、昨今の豚の生産状況に対する見解、(2)今後、さらなる豚の生産安定を図るために行う措置についての見解、というものであった。

「豚生産能力管理調整方策」改訂公表後の豚生産の状況と今後の施策方針

 これら質問に対して農業農村部市場・情報化局の雷劉功局長は、「方策の改訂は、豚の生産能力を安定させつつ必要な量を供給するとの業務について、最近の状況に基づき調整を行ったもの」と紹介した後、次の3点から回答した。

1 市場の価格動向について。
 市場の豚生産能力の調整機能が働いた結果、昨今、市場の需給バランスは急速に改善に向かっている。生体豚の価格が5週連続で上向いた結果、養豚業で普遍的となっていた事業者の赤字状況は軽減されている。
 国家統計局の数字によれば、第1四半期の全国豚肉生産量は1583万トンとなり、昨年同時期比で0.4%減少した。また、農村農業部の観測データによれば、4月第2週の全国の豚生体平均価格は1キログラム当たり15.4元(325.4円(注2))となり、昨年同時期比で5.3%上昇した。
 (注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均為替相場」の2024年3月末日TTS相場である1元=21.13円を使用した。

2 今後の生産見通しについて。
 先日、農業農村部が呼びかけ、専門家、業界関係団体および主要企業による専門会議を開催した。会議では、(1)豚の生産能力削減の効果が徐々に明らかとなっていること、(2)母豚、中・大型成体豚および子豚の飼養頭数がいずれも減少傾向にあること、(3)第2四半期には生体豚市場の需給バランスのさらなる改善が期待されること、(4)これらの結果、養豚業の黒字化が期待できること、について意見が一致した。
 2024年3月末の母豚飼養頭数は3992万頭(前年同月比7.3%減)、中・大型成体豚飼養頭数は同3%減となり、今後も市場出荷頭数の減少が見込まれている。また、子豚飼養頭数も23年10月から継続的に減少しており、24年3月には増加に転じると見込まれるものの、前年同期と比較すると、4.9%の減少である。
 中国の豚生産・販売は、6カ月という飼育・出荷周期と、比較的強い季節性を有する消費の影響を受けている。この機会に改めて、大規模養豚事業者に対し、科学的な生産調整を実施し、市場出荷を合理的に行い、適正な出荷体重となった豚を出荷することにより、市場リスクを低減することを呼び掛けたい。

3 今後の農業農村部の施策について。
 農業農村部は、豚の生産能力を安定させつつ必要な量を供給するために、主に3つの施策を実施する。
 第1に、生産能力の安定化である。母豚飼養頭数という“元栓”で頭数管理を確実に行い、関係部署の責任を明確にすることにより、生産能力の大幅な増減を予防する。
 第2に、「長期間にわたる取組の安定化」を行う。用地の確保、環境保全、金融支援など、長期間にわたる取組の安定化に関わる施策について、関係部局が相互に協力するよう指導し、市場予測を安定させる。
 第3に、疾病予防・管理を強化する。春季の豚関連疾病、特にアフリカ豚熱のような重大動物疾病について予防・管理の指導を強化するとともに、検疫、輸送、と畜などの各段階の監督を強化し、適時に疾病リスクを低減することにより、養豚業の安全化と健全な発展を保障する。
【調査情報部 令和6年5月8日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-9530