韓国、最大の豚肉輸入先国は米国に(韓国)
2023年の韓国の豚肉輸入量は51万4112トン(前年比5.3%減)と前年からやや減少した。これは、主な輸入先である欧州産豚肉の現地価格が上昇傾向にあった影響などによるものとみられる。輸入先の上位3カ国は、米国が最も多く16万1830トン(同15.8%増)とスペインを抜いて最大の輸入先国に返り咲いた。次いでスペインは大幅に減らして10万8365トン(同26.5%減)、カナダは大幅に増やして7万3584トン(同21.9%増)となった(図1)。
韓国では、一般的に国産豚肉は家庭内消費が多く、国産に比べて安価な輸入豚肉は外食産業での消費が多い。韓国の豚肉消費は、19年に国内で発生したアフリカ豚熱により、消費者が豚肉の安全性に懸念を抱いたこと、また、その後の新型コロナウイルス感染症(COVID−19)の流行などで外食需要が伸び悩んでいた。しかし、20年に政府が全国民に対して緊急災害支援金(注)を交付したことで、家庭内消費を中心に外食消費も回復傾向となり、22年はCOVID−19の収束化による外食消費の拡大などから、輸入豚肉の需要も押し上げられたとみられる。
経済協力開発機構(OECD)の資料によると、韓国の年間豚肉消費量は1人当たり32.3キログラムとベトナム次ぐ世界第2位である。韓国農村経済研究院の見通しでは、今後も豚肉生産量、輸入量、消費量ともに増加傾向で推移とされていることから、引き続き韓国の豚肉需要は高いとみられる。
(注)COVID−19の流行を受け、韓国政府が1世帯当たり最大100万ウォン(約9万円)を全国民に対して交付。一部の国民は現金での交付を受けたが、大多数はクレジットカードなどのポイントとして受け取った。
米国農務省海外農業局(USDA/FAS)が5月3日に公表した統計によると、24年1〜3月の米国から韓国への豚肉輸出量は9万7150トン(前年同期比54.5%増)、うち3月は、単月の輸出実績としては過去3番目に多い3万8776トン(同47.1%増)となった。
米国からの豚肉輸出量で韓国向けが22年は第4位となっていたが、23年は中国を抜いてメキシコ、日本に次ぐ第3位となった(図2)。 USDA/FASによると、韓国の消費者は食肉購入に対し、特に価格志向が強いため、米国産の市場シェア(占有率)を維持することで価格競争力(低価格)を維持しているとされている 。
【田中 美宇 令和6年5月22日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-4389