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連邦議会総選挙が迫る中、農業に関する公約や要望を野党・団体が発表(豪州)

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 2025年5月3日に投票予定の連邦議会総選挙に向け、野党や各業界団体の動きが活発になっている。与党・労働党が総選挙を見据えて発表した2025/26年度(7月〜翌6月)連邦予算案に対し、農業分野に関して野党からは新たな公約が次々と発表されている。
 最大野党勢力の保守連合(自由党・国民党)は、地方自治体単独では負担できない地域インフラの改善を目的とした200億豪ドル(1兆9194億円:1豪ドル=95.97円(注1))規模の「地域オーストラリア未来基金」の創設や、畜産業界を保護するため、誤認性が高い植物由来代替肉の食品表示の改善に向けた150万豪ドル(1億4400万円)の措置など、新たな公約を発表している。また、第3政党である緑の党は、2億5000万豪ドル(239億9300万円)を投じて、持続可能な農業の推進に向けた新たな研究開発センターである「グリーン・アグリカルチャー・オーストラリア」の設立などを公約に掲げている(表1)。

(注1)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年3月末TTS相場。
 
表1
 農業関係団体からもさまざまな要望事項が提案されている。牧草肥育牛の業界団体であるキャトル・オーストラリア(CA:Cattle Australia)は、植物由来代替肉の食品表示の改善やバイオセキュリティシステム向上のための輸入業者からの負担金徴収などを提案しており、これらは保守連合が掲げている公約と一致する部分が多い。また、豪州酪農家連盟(ADF:Australian Dairy Farmers)は、予算規模を含めたより具体的な要望事項を提案しており、後継者確保のための基金の設立や労働力不足に対応するためのスマート技術の導入支援など、近年の酪農家戸数の減少(注2)に歯止めをかけるものとなっている(表2)。この他、穀物や野菜、砂糖の業界団体からも多くの要望事項が出されている(表3)。選挙の結果によっては、農業政策にも一定の変化が出てくるとみられている。
 
(注2)詳細は海外情報「豪州の酪農家戸数、4千戸を割り込み減少が進む(豪州)」をご参照ください。
表2
表3
【調査情報部 令和7年4月22日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03‐3583-4389