米国農務省による世界および米国のトウモロコシ需給予測(2025年7月)
25/26年度は生産量の下方修正から期末在庫はやや減少
米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)および米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は2025年7月11日、2025/26年度の世界のトウモロコシ需給予測値を更新した(表1)。
これによると、同年度の世界のトウモロコシ生産量は12億6366万トン(前年度比3.1%増)と前月から232万トン下方修正された。主要生産国である米国の下方修正などが反映された。
輸入量は、世界全体で1億8776万トン(同2.7%増)と前月から28万トン上方修正された。主要輸入国はいずれも据え置かれたが、エジプトの上方修正などが反映された。また、中国の輸入量については、同日付で中国農業農村部は700万トンと公表しており、USDAの予測値1000万トンとは300万トンの乖離がある。
消費量は、世界全体で12億7576万トン(同1.5%増)と前月から3万トン下方修正されたものの、引き続き高水準を維持している。主要国では、米国の下方修正がブラジルの上方修正を上回った。
輸出量は、世界全体で1億9581万トン(同1.7%増)と前月から1万トン下方修正された。
この結果、期末在庫は、生産量の減少が反映され、2億7208万トン(同4.3%減)と前月から316万トン下方修正された。
作付面積の減少に伴い生産量は下方修正するも、期末在庫は大幅に増加
USDA/WAOBは同日、2025/26年度(9月〜翌8月)の米国のトウモロコシ需給見通しを公表した(表2)。
米国内生産量は、作付面積と収穫面積の下方修正に伴い前月から下方修正されたものの、157億500万ブッシェル(3億9892万トン(注1)、前年度比5.6%増)と前年度からやや増加が見込まれている。
米国内消費量は、127億3500万ブッシェル(3億2348万トン、同1.4%増)と前年度からわずかな増加が見込まれている。
輸出量は、26億7500万ブッシェル(6795万トン、同2.7%減)と前年度からわずかな減少が見込まれている。
期末在庫は、16億6000万ブッシェル(4217万トン、同23.9%増)と前年度から大幅な増加が見込まれている。
また、期末在庫率(総消費量に対する期末在庫量)は、10.8%(同2.1ポイント増)と、前年度を上回ると見込まれている。
生産者平均販売価格は、1ブッシェル当たり4.20米ドル(612円。1キログラム当たり24円:1米ドル=145.81円(注2)、同2.3%安)と前年度からわずかな下落が見込まれている。
今回の作付面積と収穫面積の下方修正は、米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が6月30日に公表した作付面積の調査結果に基づいており、作付面積は下方修正ながらも9520万エーカー(3853万ヘクタール、前年比5.1%増)とされ、これは統計が開始された1944年以降で3番目の規模となっている。
また、今回の予測では、24/25年度の米国の消費量が前月から75万トン下方修正され、輸出量が100万トン上方修正されたことから、同年度の期末在庫が25万トン下方修正され、25/26年度の期末在庫に反映される形となった。
(注1)1ブッシェルを約25.401キログラムとして農畜産業振興機構が換算。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年6月末TTS相場。
【峯岸 啓之 令和7年7月17日発】
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