豚肉市場の状況および政府の支援方針についての記者からの質問に対して、農業農村部畜牧獣医司(「司」は日本農林水産省の「局」に相当)の司長は、次のように回答した。
なお、質問の背景には、豚肉価格が低位で推移していることを受け、同部が業界から意見聴取したことが報道されるなど、「豚生産能力管理調整方策」
(注2)(以下「方策」という)に定められた繁殖用雌豚の適正飼養頭数が引き下げられるのではないかとの業界の関心がある。
(注2)農村農業部が適正とする繁殖用雌豚の飼養頭数については海外情報「中国農業農村部、豚の飼養頭数調整のための方策を改訂(中国)」(令和6年3月12日発)をご参照ください。
1 現下の状況
わが国では豚肉の生産量と消費量が全肉類のそれぞれ6割を占めており、「養豚を安定させれば畜産業の大勢が安定する」と言える状況にある。これまで、省級、市級の各農業農村部門は、養豚業の生産能力が過剰になった場合には適時に警告を発出し、業界を牽引する企業を指導して秩序立った減産を行っており、昨年5月以降連続14カ月にわたって養豚業は黒字経営を達成している。
最近、豚肉価格に一定の値下げ圧力が見られることについても、事前に市場予測警報を発出し、業界を牽引する企業を中心に合理的な範囲で減産を進めるなどの出荷調整を行っている。生産地の観測によれば、6月の全国の5カ月齢以上の生体豚の出荷量は前月比0.8%減となっており、7月、8月の出荷量も引き続き減少見込みであることは、豚肉価格、ひいては養豚業の安定化に資すると考える。
第2四半期の雌豚飼養頭数も4043万頭であり、適正飼養頭数3900万頭の103.7%であって、3900万頭の「92%から105%まで」と方策に定められた生産能力の正常域とされる範囲にとどまっている。
2 農業農村部が行う措置について
農業農村部は、養豚業の安定的な発展のため、以下2点を確実に行っていく。
(1)生産能力の調整
市場観測の発信を密に行い、秩序ある出荷を指導するとともに、生産性の低い雌豚と弱い子豚個体の
淘汰を進め、生産能力を適切に管理することによって需給の均衡を図る。
(2)関連政策の安定化
地方の政府関係部門の有する生産能力と価格の安定に対する責務を果たす中で、生産能力の調整に向けた措置をより適切に行うとともに、疾病予防を常に適切に行い、アフリカ豚熱などの重大な疾病を絶対に発生させないよう努める。