2024/25年度のばれいしょの生産は外食需要の低下に伴い減少(米国)
最終更新日:2025年10月22日
米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)は2025年9月、同国におけるばれいしょの生産量などに関する報告書を公表した。これによると、24/25年度(注1)の総生産量および総生産額は前年度と比較して減少した。
(注1)ばれいしょの生産年度は9月から翌年8月まで、以後同じ。
1 2024/25年度のばれいしょの生産状況
USDA/NASSによれば、米国の主要生産13州における2024/25年度の総生産量は1910万4000トン(前年度比4.3%減)、総生産額は49億5000万米ドル(7419億600万円:1米ドル=149.88円(注2)、同8.2%減)となった(図)。これは、前年度が増産により供給過剰となったことで、価格が下落し生産者の作付意欲が減退したことに加え、ばれいしょ加工企業がばれいしょの契約数量を大幅に減少させたことが要因とみられる。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年9月末TTS相場。
(注3)『野菜情報』2025年4月号「2024年の米国の野菜をめぐる状況|農畜産業振興機構」も併せてご参照ください。
生産量について州別に見ると、特に生産量が多いアイダホ州およびワシントン州では、ばれいしょ加工企業による契約減少の影響により、それぞれ613万4200トン(前年度比5.6%減)、448万5600トン(同4.6%減)となった。また、高温で推移したカリフォルニア州やハリケーンの被害を受けたフロリダ州では減少が目立っており、生産量は40万5700トン(同9.8%減)、20万8700トン(同22.5%減)となった。一方でコロラド州やメイン州では、生育期の天候が順調であったことから単収が増加し、生産量は100万500トン(同4.6%増)、83万1300トン(同9.1%増)となった(表1、2)。
米国では、景気の先行きの不透明感や提供されるメニューの値上げなどから、消費者がハンバーガーをはじめとするファストフード消費を敬遠している状況とされている。このため、外食産業向けのばれいしょの需要は、引き続き減少傾向とみられており、ばれいしょ加工業者は前年に引き続き契約を抑制していることから、25/26年度の作付けについても24/25年度からの減少が見込まれている
(注4)。
(注4)『野菜情報』2025年9月号「米国の野菜をめぐる2024年の状況および25年の見通し〜24年の野菜の1人当たりの消費量は1988年以来の低水準に〜|農畜産業振興機構」も併せてご参照ください。
2 2024年の米国のばれいしょ輸出量および輸入量は23年並み
USDAの統計情報によれば、2024年の米国のばれいしょ輸出量は168万5800トン(前年比0.2%増)、輸入量は235万800トン(同0.6%減)となった。なお、25年1〜7月の輸出量は97万4700トン(前年同期比1.6%減)、輸入量は134万200トン(同5.2%減)となった(表3、4)。
24年の米国の主要輸出先を見ると、メキシコ向けは49万8600トン(同14.6%増)、日本向けは32万0000トン(同1.5%減)、カナダ向けは26万4600トン(同21.2%減)、韓国向けは9万7300トン(同3.2%減)となった(表5〜8)。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-9805