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スペインでアフリカ豚熱発生を確認、野生イノシシが感染(スペイン)

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 スペイン農業漁業食料省(MAPA)は11月28日、1994年以来となるアフリカ豚熱(ASF)の発生を、野生イノシシ2頭から確認したと発表した。これら2頭は、11月26日に、カタルーニャ州バルセロナ都市圏のベリャテラ(Bellaterra)にあるバルセロナ自治大学付近で、互いに約1キロメートル離れた位置で死亡した状態で発見された(図)。
感染が確認された野生イノシシ2頭の発見地点
 今回の発生を受け、EU規則に基づき、感染が確認された地点の周囲に制限区域が設けられ、この区域からは、豚やイノシシおよびその由来製品の移動が禁止される。
 また、感染確認地点から半径20キロメートル内における養豚場がリストアップされ、豚の搬入・搬出が制限された。カタルーニャ州政府は、半径6キロメートル以内における、自然環境への立ち入り禁止、狩猟や林業の制限、罠の設置などの野生イノシシ移動対策などの封じ込め措置を実施している。
 11月30日、MAPAは半径20キロメートル圏内39の養豚場で飼養されている豚を検査した結果、すべて陰性であったと公表した。
 一方で12月2日に、当初感染確認地点付近で回収した野生イノシシ7頭の死体から、新たにASF陽性が確認された。これで当初と合わせて計9件の感染確認となる。
 感染経路は12月2日時点で判明していない。

スペイン産豚肉等の輸入を一時停止

 農林水産省は、今回のアフリカ豚熱の発生確認を受け、令和7年11月28日以降のスペインから輸入される豚肉等について、輸入一時停止措置を講じた(注)。スペインはわが国の豚肉主要輸入先国の一つであり、2024年の豚肉輸入量97万6000トンのうち同国産は16万9000トンを占めた。スペインからの豚肉輸入量のほぼ全量が冷凍品であり、冷凍豚肉に限れば最大の輸入先国となっている。報道によれば、メキシコなども同国産の豚肉の輸入一時停止措置を講じている。
 スペイン農業漁業食料省のプラナス大臣は11月29日、同省とカタルーニャ州政府の迅速な対応を評価し、生産農場に影響を与えないようバイオセキュリティ対策を適切に実施していくと述べた。また、EU域内向け輸出は、地域主義が適用されるため制限区域を除いて継続できるとした。スペインの豚肉輸出のうち約6割がEU域内向けである。
  なお、アフリカ豚熱は豚、イノシシの病気であり、人に感染することはない。

(注)農林水産省プレスリリース
【調査情報部 令和7年12月3日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-8527