EU産の乳製品について、中国商務部は2025年12月22日、補助金を受けて生産されたEU産乳製品の輸出により、中国国内の乳製品産業に損害が生じているとして、暫定的な反補助金関税を12月23日より導入すると発表した。対象となるのは、ミルク・クリーム(脂肪分が全重量の10%を超えるもの)およびチーズであり、企業ごとに異なる21.9%〜42.7%の保証金の納付が求められる。なお、EU産乳製品に対する反補助金調査は、24年8月に開始されており、調査期間は26年2月21日まで
(注1)とされている。
(注1)中国商務部は、反補助金調査を24年に開始し、25年8月調査期間を延長した。詳しくは、海外情報「EU産乳製品に対する中国の反補助金調査が開始(EU、中国)」および「EU産乳製品に対する中国の反補助金調査期間を延長(EU)」をご参照ください。
対象製品に暫定的に課される保証金率は輸出事業者ごとに異なる。中国向け乳製品の輸出量や製品構成、立地条件など複数の要素が総合的に考慮され、その結果、典型的な3社が反補助金調査のサンプリング対象企業として選定された。 サンプリング対象企業となったステリルガルダ社(イタリア)とその関連会社には21.9%、エルヴィール社(フランス、サヴェンシアグループ)とその関連会社には29.7%、フリースランド・カンピーナ社(オランダ、ベルギー)とその関連会社には42.7%の保証金率がそれぞれ適用された。このほか、調査に協力的とされた企業には一律28.6%、非協力的とされた企業には42.7%の保証金率が課される
(注2)。
(注2)企業ごとの保証金率については、中国商務部による公表の別添2をご参照ください。
欧州委員会は、今回の反補助金調査について「疑わしい主張かつ不十分な証拠」に基づいているとし、保証金措置を「不当かつ根拠がない」と非難した。同委員会はすでに1年以上前に世界貿易機関(WTO)の紛争解決手続きを通じて異議を申し立てている。また、現地報道によれば、2023年の貿易額を基に試算すると、年間で1億1800万〜2億8000万ユーロ(219億2794万〜520億3240万円:1ユーロ=185.83円)(注3)の保証金を負担する可能性があるという。さらに、ダノンやラクタリスなどの大手グループが加盟するフランス乳業協会(FNIL)も今回の保証金措置に対し、「打撃であり衝撃だ」と批判している。
(注3)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年12月末TTS相場。