畜産 畜産分野の各種業務の情報、情報誌「畜産の情報」の記事、統計資料など

ホーム > 畜産 > 海外情報 > 2026年 > 欧州委員会、堆肥由来窒素「RENURE」の使用に関する指令を制定(EU)

欧州委員会、堆肥由来窒素「RENURE」の使用に関する指令を制定(EU)

印刷ページ
 欧州委員会は2026年2月9日、堆肥由来の再生窒素肥料RENURE(REcovered Nitrogen from manURE:堆肥由来窒素回収)について、厳格な基準の下での使用を認める指令(EU)2026/288を制定した。硝酸塩指令(91/676/EEC)では、堆肥由来窒素の圃場施用量は窒素換算で1ヘクタール当たり170キログラム/年が上限と定められている。しかし、RENUREに限り、加盟国の裁量により最大同80キログラムの追加施用を認める措置となる。これにより、堆肥由来窒素の施用量の上限を最大で同250キログラムまで増やすことが可能となる。
 
 今回の指令は、RENUREを化学肥料の代替と位置付けることで、農家のコスト低減、EU域内の肥料自給力の向上、および食料安全保障の強化を図るものである。一方で、環境への配慮として品質基準や散布方法、監視および報告義務が明確化された。RENUREを採用する加盟国は、遅くとも28年3月2日までに国内法を整備し、欧州委員会に通知する必要がある。

RENUREの条件

 欧州委員会は、RENUREの品質について、施用後に作物が迅速に吸収できる形態を条件とした。具体的には、1)製品中の窒素の90パーセント以上が無機態であること、2)C/N比注1)が3以下であること−とし、さらに重金属や病原体の含有量が極めて少ないことを衛生基準として求めている。
 品質の安定性と作物による速やかな吸収を可能とする成分をRNEUREとし、次の3種類を認めている。
 
  • アンモニアを含む気体からアンモニアを取り除く処理工程で生成されるアンモニウム塩
  • 家畜ふん尿成分を逆浸透法で濃縮して得られる無機物濃縮液
  • 家畜ふん尿の処理過程で沈殿し得られる窒素を多く含むリン酸塩
 
 また、RENUREは化学肥料の代替を目的とすることから、施用時には土壌への速やかな混和や地中への注入など、環境中への流亡を抑える扱いが求められる。ナチュラ2000指定地(注2)を含め、注意すべき土地での散布にも適切な配慮が必要である。特に秋期の施用では、気温低下に伴う土壌への残存や降雨増加による流出、地下水への浸透といった環境負荷を考慮し、カバークロップの導入など、窒素流出防止のための措置が求められる。
 さらに同委員会は、RENUREの使用により、1)EU域内で生産される家畜ふん尿総量、2)家畜単位(LSU(注3))、3)家畜飼養密度−を増加させないことを条件としている。このため、環境への影響評価を求めており、EU加盟国はRENUREの使用状況(生産量、家畜頭数、家畜ふん尿生産量の年次データ)を4年ごとに同委員会へ報告する必要がある。
 

(注1)C/N比(炭素率)とは、有機質肥料や堆肥などに含まれる炭素(C)と窒素(N)の割合を示す指標。値が低いほど窒素含有量が多く、値が高くなると窒素含有量が少なくなる。
(注2)EUの野鳥保護指令(79/409/EEC)と生息地指令(92/43/EEC)に基づいた指定地で、野鳥などの動植物の生息地の保護が義務付けられている。
(注3)各種家畜の栄養要求量または飼料要求量に基づき設定された係数を用いて、畜種や年齢の異なる家畜を集計するための基準単位。
 放牧により年間3000キログラムの生乳を生産する牛1頭(乳牛、濃厚飼料の給餌なし)の換算値を1LSUとしている。牛、山羊、羊、馬、豚、家禽、雌の繁殖用ウサギに対して設定される。
【渡辺 淳一 令和8年2月20日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:調査情報部)
Tel:03-3583-9532