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園芸生産額・輸出額は過去最高を更新、にんじんは堅調もたまねぎは減少(豪州)

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最終更新日:2026年3月12日

 豪州の園芸関係団体であるホート・イノベーションは2026年2月、75の園芸品目(注1)の需給などに関する2024/25年度版(注2)の統計ハンドブックを公表した。本稿では同資料に加え、豪州農業資源経済科学局(ABARES)が同年3月に公表した園芸作物の需給見通しを基に、豪州の園芸生産の見込みなどについて紹介する。

 (注1)野菜類、果樹類、ナッツ類、花き類などを含む。
 (注2)豪州の会計年度は7月〜翌6月。


 ホート・イノベーションの報告によると、24/25年度の園芸生産額は184億豪ドル(対前年度比:8.4%増)を記録し、過去最高を更新した(図1)。この背景には、主要な輸出市場であるアジア地域からの果樹・ナッツ類(主にアーモンド、ぶどう、かんきつ類)への高い需要があるとされており、生産量がほぼ横ばいだった一方で、高い需要による価格上昇が記録更新につながった。
図1 園芸産業のサプライチェーン(2024/25年度)
 ABARESによる今後の需給見通しによると、園芸作物の輸出額は26/27年度まで記録更新を続けると予測されており、同年度には44億豪ドルに達するとされている(図2)。また、30/31年度までの中期見通しについても、輸出市場からの高い需要が継続し、45億豪ドルまで成長すると見込まれている。
図2 園芸産業の輸出額の推移と予測(直近20年間)
 一方、野菜類も人口増加による安定した国内需要により全体の生産額・輸出額は上昇傾向で推移しているものの、品目によっては輸出市場での激しい競争にさらされている。日本の輸入先第2位(注3)であるにんじんは、24/25年度の輸出量が8万6414トン(同6.3%増)とかなり増加したのに対し、同年度同4位のたまねぎの輸出量は2万4164トン(同47.3%減)と大幅に減少した(表)。この理由として、米国産やオランダ産などの対日輸出が増加したことが挙げられる。野菜の業界団体であるオースベジ(AUSVEG)によると、EUとの自由貿易協定の締結の遅れにより、競合国にシェアを奪われたと分析している。

 (注3)ベジ探「品目別・輸入先国・数量・金額・単価」の24年の国別輸入量順位。https://vegetan.alic.go.jp/other/list-data.html#list-data03
表 にんじん、たまねぎの近年の需給動向
 加えて、ABARESは需給見通しの中で今後の園芸業界の機会と課題についても分析している。まず課題については、22年にニューサウスウェールズ州で初めて確認されたバロアダニ(注4)の被害が拡大している点を挙げている。ミツバチに寄生する同ダニは、蜂群の崩壊を招く恐れがあり、ミツバチのポリネーション(花粉媒介)に依存している園芸品目(アーモンドなど)はリスクが高いことから、業界協調の対策が必要としている。次に機会については、 25年5月の中国向けのりんご輸出に関する検疫要件の変更を挙げている。これまで同国向けはタスマニア州産のみに限られていたが、26年からは豪州全土のりんご輸出が許可されたことから、全国のりんご生産者にとって大きな参入機会となるとしている。

 (注4)別名ミツバチヘギイタダニ。アジアに自然分布していたが、1970年代に東欧や南米、その後西欧や北米でも確認され、2000年代以降は豪州を含む大洋州などでも確認された。バロアダニは働きバチのポリネーションで同ハチに寄生、同ハチが巣房に戻った際に巣房内の幼虫に寄生し、幼虫の体液を吸って成長するため、寄生された幼虫は成虫になっても矮小化、または成虫のうちに死亡することがある。

【調査情報部 令和8年3月12日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-9532