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中国市場監督管理総局、2025年の市場取締り状況などを公表(中国)

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 中国では、3月15日の「世界消費者権利デー」に合わせて、毎年、消費者が市場で発見した不適切な商品や事業者をインターネット上で、または、政府の担当部署に告発することが定着している。市場の管理を担う中国市場監督管理総局も、この日に合わせて前年の「消費者からの苦情・通報の特徴」や、同局または各地方の市場監督管理部門による「権利侵害、偽物などの取締り成果」などを公表してきた(注1)。以下に2025年の主な内容を紹介する。
 なお、国営放送である中央テレビ(CCTV)も毎年「3.15特別番組」(注2)を報じており、今年の食品関係の事案はもみじ(鶏の足)であった。これに関して市場監督管理総局は翌16日、産地直販食品、オンライン販売食品、健康食品など特に問題となっている食品類型を対象として食品製造許可の有無、産地や成分の偽装などを取り締まる「オンライン販売された食品の安全性、合法性を向上するための一連の行動」を即日開始するとした。これに先立ち、同局は越境EC(電子商取引)で輸入された食品の中国国内での回収(リコール)の厳格化について、また、中国海関総署(日本の税関に相応)は海外への返品ルートの明確化についてそれぞれ公告を発出した。
 
 (注1)同局の業務である市場の管理は、薬品、知的財産、食品安全などに関する権利侵害や違法な商品、サービスなどの取締りのほか、市場における公平な競争の確保など、市場の秩序を維持するために必要な行政行為全般にわたる。取締りや違法事業者への対応など法に基づく対応は、農村農業部を含む当該法の所管行政部門と連携して行われる。同局等による2024年の取締り状況については海外情報「中国市場監督管理総局、2024年の市場取締り状況などを公表(中国)」(令和7年4月7日発)をご参照ください。
 (注2)「3.15特別番組」は政策宣伝的な意味を持ち、番組が取り上げた商品は関連部署が取締りを厳しくする傾向がある。一昨年は番組で取り上げられた肉類産品について市場監督管理総局などが「肉類産品の違法行為処罰プロジェクト」を展開した。同プロジェクトについては海外情報「中国国務院などが今年初の食品安全に関する取締りプロジェクトを公表」(令和6年4月23日発)をご参照ください。

「2025年消費者からの苦情・通報の10大特徴」(3月15日公表)

 2025年、全国の市場監督管理部門が「12315」(苦情・通報専門の政府機関用の番号・窓口のこと)のインターネット、電話、FAX、窓口などを通じて消費者から受けた苦情、通報および相談件数は、合計で4387万件に上り、前年比9.8%の増加となった。このうち、苦情は2037万件、違法の疑いがあるとの通報・告発は609万件、問合せは1741万件となった。また、これらにより取り戻された消費者の経済損失額は43億5000万元(1001億円)(注3)に上った。
 
(注3)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均為替相場」の2026年2月末日TTS相場である1元=23.01円を使用した。
 
図 2025年苦情件数分野別内訳
 25年の苦情・通報に関する「10大特徴」は、以下の通りである。
 (1) 自己の権利を守ろうとする権利意識が引き続き向上し、消費者からの苦情件数が初めて2000万件を超えたこと。消費者の不満は特に返品トラブル、消費者に不利な内容をわかりにくく記載した契約書や約款、販売店による契約不履行などに集中している。
 (2) 通報・告発件数が600万件を超えた一方、商標違反に関するものは減少したこと。後者は、わが国における近年の知的財産権保護の強化の効果を反映した。
 (3) 日常商品に対する通報、中でもサービス業に関するものが増加したこと。通報件数上位5位の商品は、食品(345万件)、衣類、靴など(169.万件)、家庭用品(120万件)、車、自転車など(71万件)、通信関連商品(71万件)で、サービス業では1位は飲食・宿泊業関連(119万件)であった。
 (4) オンライン販売に関する苦情・通報の件数が合計1507万件と、全体(2646万件)の56.9%を占めたこと。これらの苦情・通報には傾向があり、1)地域が偏っていること(浙江省、広東省、上海市、北京市および江蘇省の5地域で全体の63.1%を占める)、2)販売後のサービスに関するものが多く、全体の42.3%を占めること、3)電子商取引業者が実施するキャンペーン期間中に商品価格に関する苦情・通報件数が増えること(例えば、各社によるキャンペーン実施が通例となった6月18日前後、11月11日前後の数週間から1カ月間など)−が挙げられる。
 (5) 特定の事業者(オンライン販売プラットフォーム提供事業者を含む)に集中していること。苦情・通報件数の468万件(全体の17.7%)は上位100社に対するもので、比較的規模が大きい事業者に集中した。
 (6) 消費者の権利意識が向上したこと。前年に比べ、苦情・通報件数は増えた一方、紛争総額は235億元(5407億円)と前年比で4.5%減少したことはその表れである。とはいえ、一部の商品・サービスでは1件当たりの紛争金額が増えており引き続き注意が必要である(例えば通信サービスの1件当たりの紛争金額は558元(1万2840円)と、昨年比88.2%も増加した)。
 (7) 宅配サービス関連件数の振れ幅が大きいこと。宅配サービス事業者が第3四半期にキャンペーンを実施したときは苦情・通報件数も前期比23.8%増となり、キャンペーンが終わった第4四半期は前期比22.8%減となった。
 (8) 「充電焦燥」件数が激増したこと。社会のデジタル化、電動化に伴い、携帯から自動車に至るまで「充電が足りないことによる焦り」が日常的となった。充電器に関する件数は16万件で前年比62.5%増となり、電気自動車の充電設備に関する件数は6万件で前年比47.8%増となった。
 (9) 若い世代における個性の追求、宝飾品の日常化などに伴い、宝飾品に関する件数が増加したこと。
 (10) デジタル消費の増加に伴い、デジタル機器に関する機能や宣伝文句が消費者の理解・期待に合致しない例が増えたこと。中国の消費市場は既にデジタル化しており、多くの販売店がデジタル商品、またその機能を重要な訴求ポイントとしている。これに伴い、デジタル機器の機能や宣伝文句が考えていたものと異なるとの苦情・通報件数が増えている。これらに関する苦情・通報件数は15万件で前年比26.6%増となり、デジタル時計(5万件)、デジタル家具(3万件)、ドローン(2万件)などが上位を占めた。
【調査情報部 令和8年3月26日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:調査情報部)
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