2025年、米国の食肉部門は売上高1120億ドル(18兆76億円:1米ドル=161.39円(注1))と過去最高を記録した。売上高で前年比6.8%増、販売数量で2.0%増となった。食肉部門は生鮮食品売場の中で最大かつ最も成長率の高い部門となり、中でも牛肉がこの伸びに大きく寄与した。
家計が圧迫され、消費者は「どこで・何を・どれだけ買うか」を調整している中でも、食肉部門の優先度は依然として高い。インフレが継続する中で家計消費において日常的な購入では価格が重視される一方で、特別な機会ではよりぜいたくな商品が消費される傾向が強まっており、低価格帯の商品とぜいたく品が併存する二極化市場が形成されている。
日常的な消費では価格が重視されると言っても、最終的に決め手になっている要素は品質である。特に、若い買い物客は、自分の価値観に合ったブランドや特性に追加の支出を惜しまない。どのような食事を摂るかは、価格だけでなくデジタルによる情報源の影響が拡大しており、SNSや検索エンジン、AIが、部位の選択や調理方法のヒントとして活用されている。
品質を維持しつつ、簡便化や時短を求める消費者ニーズが高まる中、調理時間を短縮できる加熱済み、簡便調理、付加価値型商品の需要が拡大している。また、消費者が価値と効率性を求めるにつれ、食肉の購入は量販店、会員制倉庫型店舗、オンラインへと移行している。スーパーマーケットは依然として、食肉の購入場所として主軸であるものの、複数の業態を利用した購入が一般的となっており、店舗を設ける利点である対面による信頼構築、調理用にカットされた商品などによる差別化が重要となるだろう。
引き続き健康への関心は高く、たんぱく質摂取を目的とした食肉の消費は、消費者の購買意欲を高める大きな要因となっている。42%の米国人は、たんぱく質はますます重要視される分野であると回答している。
また、家畜の飼育方法や産地の透明性への関心も高く、有機や牧草肥育による商品市場は大きく成長した。それだけでなく、半数以上の消費者が、環境に配慮した食品・包装を選びたいと考えている。
食肉部門における消費の世代交代が急速に進行し、販売数量の伸びの67%をZ世代とミレニアル世代が占めた(注3)。この世代は、健康効果、利便性および持続可能性などを重要視し、食の選択をデジタルからの情報に強く依存することから、これらの変化に対応するため、販売促進の戦略や取り組みの再構築が求められる。
(注1)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2026年4月末TTS相場。
(注2)「The Power of Meat2026」の概要版はFMIのウェブサイトに公表されている。(全文を閲覧するためには購入する必要がある)
(注3)本アンケート調査は18歳から75歳までの1657人の食品購入者を対象に実施。18〜26歳を「Z世代」、27〜42歳を「ミレニアル世代」、43〜58歳を「X世代」、59〜75歳を「ベビーブーマー世代」とする。