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豪連邦政府、次年度予算案は燃料・肥料安全保障の強化に注力(豪州)

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 豪州連邦政府は2026年5月12日、2026/27年度(26年7月〜27年6月)の予算案を発表した。中東情勢の不安定化に対応する燃料および肥料供給の強化に向けた148億豪ドル(1兆7209億円:1豪ドル=116.28円(注1))規模の包括的対策、国民の負担を軽減するための64億豪ドル(7441億9200万円)規模の減税措置、医薬品給付制度の充実化および新規住宅建設への支援などが盛り込まれた。
 
 燃料および肥料は、生産者の営農継続に不可欠な生産資材であり、今回の措置による恩恵は大きいと考えられる。上記対策のうち中核となる燃料および肥料の供給・貯蔵能力の拡大に向けて財政的支援を行う枠組み「燃料・肥料安全保障ファシリティ」への75億豪ドル(8451億円)の充当は、豪州の供給能力の強化に寄与することが期待されている。また、大きな焦点となっていたキャピタルゲイン税(注2)の優遇措置の変更や、裁量信託(注3)への新たな課税については、農業分野を含む中小事業者は対象外となることが確認されており、業界からは歓迎の声が挙がっている。
 
(注1)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2026年4月末TTS相場。
(注2)資産を売却して得た利益(キャピタルゲイン)に対する課税。これまで、利益の50%は課税が免除される優遇措置が取られていたが、今年度予算案でインフレ調整後の実質利益に基づく新たな課税モデルが示された。
(注3)受託者が受益者への資産の分配方法および時期について完全な権限を持つ柔軟な法的取り決め。委託者が受託者に対し信託財産の分配に関する裁量権を与えることにより、受益者の変化に流動的に対応できることが特徴。

 
 一方、豪州農林水産省(DAFF)が主に計上する農林水産関連予算については、新たな措置は少ない。それどころか、省庁横断的な歳出削減方針に伴い、前年度から措置されていたいくつかのプログラム予算が削減されており、削減額は2482万豪ドル(27億9672万円)に上る。DAFFの26/27年度総費用支出を見ると、総額が32億9154万豪ドル(3708億9073万円)、内訳が大きい順に「DAFF運営費」が15億7442万豪ドル(1774億0565万円)、「法律に基づく恒久的支出」が12億8030万豪ドル(1442億6420万円)となっている。その中で、一般的な補助金に該当する「外部向け政策的経費」は2億2200万豪ドル(250億1496万円、対前年度比:14.9%減)と、その予算規模は縮小傾向にある(図)。
図
 新たな支援策については、農畜産物の輸出規制に係る検査・認証・コンプライアンスコストへの対応措置の比重が大きい(表)。
表
 これは、輸出規制に係るコスト負担を生産者および輸出事業者に課す新たな輸出課徴金制度の導入計画が、中東情勢の影響を考慮して延期となったことから、それらを補填するものとなっている。
  
 各業界の反応を見ると、燃料および肥料に対する包括支援策や税制改革の内容については概ね評価しているものの、農林水産関連予算が目減りしている点については不安の声が見られた。生産者に対する直接支援の少なさという部分は、引き続き論点になると考えられる。また、燃料および肥料の供給能力の強化が、食料安全保障にどの程度寄与するかについても注目されている。
【調査情報部 令和8年5月21日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-9532