米中は農畜産物貿易の拡大に合意、牛肉輸出認可施設の登録も更新(米国)
2026年5月15日、米中首脳会談において、米国産牛肉の対中輸出に係る認可施設の登録更新を含む、農畜産物貿易の拡大に向けた合意が行われた。本合意には、更新が滞っていた牛肉輸出認可問題の改善に加え、高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)非発生州からの家きん肉の輸入再開などの措置が含まれている。
1.合意内容
米国政府は5月17日、同月15日に中国・北京にて開催された米中首脳会談における合意内容を公表した。このうち、農畜産物分野の主な合意項目として、(1)中国による米国産農畜産物の購入拡大、(2)米国産牛肉の中国向け輸出認可施設の登録更新、(3)米国農務省(USDA)がHPAI非発生地域と認定した州からの家きん肉の輸入再開―を挙げている。
(1)農畜産物の購入拡大
中国は、米国産大豆輸出量の約5割を占める最大の輸出先であるが、25年5月以降、半年間にわたり米国からの大豆輸入を実質的に停止していた(図1)。その後、25年10月の米中首脳会談を受け、中国は輸入再開に合意し、25年中に少なくとも1200万トン、26〜28年には年間2500万トンの購入を約束していた。今回はこれに加え、大豆を含む農畜産物全体について、26〜28年に年間少なくとも170億米ドル(2兆7436億円:1米ドル=161.39円(注1))の購入方針が示された。
なお、今回合意の具体的な金額については中国側の発表では明記されていない一方、関税引下げに関する記載については中国側のみにとどまるなど、米中間で発表内容に差異が見られる。
(注1)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均為替相場」の2026年4月末TTS相場。
(2)牛肉輸出認可施設の登録更新
中国では、輸入食品の安全性を確保するため、特定の食品について、外国企業が海外で生産する食品の輸入を中国海関総署(GACC)による認可制としている。しかし、25年3月以降に期限切れとなった米国産牛肉の輸出認可施設について、更新が行われないままとなっていた。現地報道によると、これはトランプ政権による中国への追加関税措置への報復措置と見られており、この結果、同国向けの牛肉輸出量が大きく減少している(注2)(図2)ほか、皮、舌、内臓といった副産物の輸出にも影響が生じていた。
今般、GACCは、登録期限が切れていた425施設について5年間の登録更新を認めるとともに、77施設を新たに追加した。一方、登録更新が認められたものの、依然として輸出資格を得られていない25施設を含め、38施設については輸出停止措置が継続されている。
(注2)2025年の輸出量は7万47トンと前年から67.5%減少し、25年12月単月では945トン(前年同月比95.0%減)と、輸出の大部分が停止していた。
(3)HPAI非発生州からの家きん肉輸入再開
中国は、USDAにより高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)非発生地域と認定された米国の州からの家きん肉の輸入を再開するとした。
中国では20年3月以降、米国の家きん肉輸出において地域主義を適用するとしながらも、実態・運用面では発生州からの輸入が制限されていたことなどから、同国向けの米国産家きん肉輸出量が減少していた(図3)。今回の措置は、こうした運用上の輸入制限について見直されるものと見られる。
2.業界団体の反応
今回合意について、米国食肉輸出連合会(USMEF)のホルストロム会長は「牛肉の市場アクセスが首脳会談で優先されたことを大いに評価する。施設登録の更新は、米国産牛肉の対中輸出にとって重要な一歩である」と賛意を表明した。一方、「一部施設について登録が更新されたにもかかわらず、輸出停止措置が継続されていることについては、米国政府によるより詳細な説明を待つ」としている。
また、中国市場の再開は、アジア市場向けの一部の部位の価格に影響を及ぼす可能性があるとして、日本、韓国、台湾への波及にも言及した。同会長は「商品構成は、アジア全域でかなり共通しているため、中国向け輸出の再開に伴い、例えば、ショートプレート(バラ肉)のような部位は、1ポンドあたり1〜2米ドル(1キログラム当たり356〜712円)の価格上昇につながる可能性がある」と説明した。
米国大豆協会(ASA)のメッツガー会長は、「ASAは米中間の継続的な対話を評価しており、今年度のさらなる大豆購入に向けた継続的な進展を期待している。市場の確実性と一貫性の向上は、農家が今後の意思決定に必要な自信を得る一助となる」とした。また、中国は米国産大豆の最も重要な輸出市場の一つであるとし「強固で信頼できる貿易関係は、米国の大豆生産者の継続的な成功に不可欠である」と述べた。
【小林 大祐 令和8年5月26日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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