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中国農業農村部、豚の飼養頭数調整のための方策を再改訂(中国)

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 中国農業農村部は2026年5月14日、豚の飼育目標頭数などを定めた「豚生産能力管理調整方策(2024年改訂)」(以下「24方策」という)(注1)を改訂し、「豚生産能力総合管理調整方策(2026年改訂)」(以下「26方策」という)を公表した。
  今回の改訂は、長引く豚肉価格の低迷を受けたもので、24年2月の改訂に次いで目標頭数を下方修正するものである。昨年には既に下方修正が予告され、業界との意見交換会を開催するなどした上での改訂であった。以下、主な改訂内容を紹介する。

(注1)中国農業農村部による母豚の飼養頭数を通じた生産調整についての方策および24年の改訂の内容については、海外情報「中国農業農村部、豚の飼養頭数調整のための方策を改訂(中国)」(令和6年3月12日)をご参照ください。

1 生産調整の枠組み

 中国では食肉消費の6割を豚肉が占め、肉と言えば豚肉を指すほど国民にとって重要な食材とされてきた。2018年8月に発生したアフリカ豚熱(ASF)がまん延したことにより19年の豚飼養頭数は18年比で3割近く減少した。20年以降、ビル養豚(注2)の急速な普及による生産効率の向上などで豚肉生産量が回復し、18年以前より増加する一方、景気後退により消費が低迷したことなどから、豚肉価格は急騰した後、急速に下落した。これを受けて、中国農業農村部は21年8月、国家発展改革委員会、財政部、生態環境部、商務部および銀行保険監督管理委員会と連名で「養豚産業の持続的で健康的な発展の促進に関する意見」を発出し、翌9月には「豚生産能力管理調整方策(暫定)」を制定、公表した。これによって、現在も続く母豚の飼養頭数を軸とする豚の生産調整が始められた。
 2021年9月に初めて策定された方策以降、24方策、そして今回の26方策に至るまで、生産調整の枠組みは一貫して母豚の飼養頭数を主要な指標とし、飼育頭数が前の月に比べてどの程度増減したのかを変化率として観測し、その率に応じて政策措置を講じてきた。法制度ではないため罰則はないものの、養豚業界の協力を得てかなり厳格に運用されている。
 この生産調整の軸となる母豚の飼養目標頭数を、26方策は3750万頭程度に引き下げた。21年当初は4100万頭程度、24年の24方策では3900万頭程度であった。また、26方策公表前の3月に農業農村部の案として報じられた見直し頭数は3650万頭程度であった。

(注2)中国で進むビルでの養豚については、「中国の養豚をめぐる動向と大規模化を担う「ビル養豚」の現状」(『畜産の情報』、2025年4月号)をご参照ください。

2 より精緻な管理のための改訂

 基本的な枠組みは維持した上で、より精緻な頭数管理に向けて、26方策では主に次のような改訂が行われた。

基本的な管理方針

〜24方策の「長期的な調整は母豚で、短期的な調整は肥育豚で」に加え、「中期的な調整は子豚で」行うこと〜
 方策は従来、母豚の頭数を管理しても出荷までに時間差があるため、現下の価格低迷に対応するための手段として肥育豚の調整、具体的には出荷時の体重を抑制することで市場に出回る豚肉の供給量を調整してきたが、26方策では、子豚の出産頭数や種雄豚の飼養頭数も管理、抑制されるということである。管理ポイントに関係する事項には報告義務が課されているため、子豚などに関する事項も報告事項に追加されることとなる。

政策措置の実施基準

〜緑、黄および赤の三段階について基準値の幅が縮小し、措置実施の要件が厳格化〜
 中国では本方策に基づいて飼養頭数が急激に減少または増加した際に飼養頭数の削減や補助金による支援などの政策措置が行われることされており、その実施基準となる頭数の変化率についてもあらかじめ実施基準として方策で設定されている。
 この基準について、
〇緑(正常な状態で措置が不要)は「92%―105%」から「92%―103%」
〇黄(なんらかの生産調整が必要な状態)は「85%―92%、105%−110%」から「88%―92%、103%―106%」
〇赤(生産調整の強化が必要な状態)は「85%未満または110%超」から「88%未満または106%超」
として、それぞれ改訂された。これは、従来よりも頭数変動が少ないうちに何らかの政策措置を講じるということである。

国家級豚生産能力管理場の登録制度における登録抹消の強化および大規模養豚企業の管理制度の新設

 生産調整の実効性を高めるため、出荷頭数が年間1万頭を超える養豚場および国家養豚核心育種場(注3)は任意で国家級豚生産能力管理場として登録し、母豚飼養頭数の管理(各種報告や頭数削減など)に協力する代わりに、養豚に関する各種政策支援を優先的に受けることができるとされていた。これについて26方策は、生産調整への協力状況の確認および協力しない養豚場、育種場の登録抹消を地方政府の責務として明記した。
 また、母豚の飼養頭数が10万頭以上の養豚企業(その傘下の企業を含む)について全国豚生産能力総合管理観測リストを作成し、毎年その生産計画の管理、報告を行わせることとした。

(注3)国家畜禽遺伝資源委員会が定める『国家畜禽遺伝資源品種リスト』に掲載された品種を所定の頭数以上飼育し、品種改良を行える施設を有する等の基準を満たすことについて農業農村部から認定された育種場を言い、2024年末時点で全国に108か所がある。

 以上のほか、補助金支給対象の縮減などの改訂が行われた。他方、全国で500頭以上飼養する養豚場の数を13万カ所以上で安定させるとの方針は維持された(注4)
今回の改訂で方策の名称に「総合」の二文字が追加されている。このことについて農業農村部の養豚業観測予報専門家諮問委員会の王委員(中国農業科学院農業経済発展研究所研究員)はメディアの取材に対し、「単純な生産調整から、養豚産業のチェーン全体について質的発展を目指すとの政策転換を象徴するものである。従来の政策の主眼は『価格変動を抑え、母豚の頭数を安定化させる』ことにあったが、今後は『需給バランスを整え、生産周期を安定化させ、産業構造を改善する』ために繁殖・肥育の効率化、疾病管理、環境保全、市場の競争力強化などを全面的に行い、規模拡大ではなく質と収益の向上を目指すことになる」と述べた。

(注4)母豚飼養目標頭数の設定について21年当初および24方策にあった「年間の豚肉生産量5500万トンを参考として」との記載は26方策で削除された。削除理由としては、養豚や食肉加工工程で各種改善が進み、従来以上に母豚の飼養頭数と豚肉生産量の間の因果関係が複雑になっている可能性、また、五か年計画制度を採用する中国において豚肉生産量だけは国務院が定める「農業農村現代化規画」で供給目標が定められていた中、26年からの5カ年に関する新たな規画は26方策公表の時点でまだ公表されていないことの影響などが考えられる。
 
【調査情報部 令和8年6月11日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-9532