中国では食肉消費の6割を豚肉が占め、肉と言えば豚肉を指すほど国民にとって重要な食材とされてきた。2018年8月に発生したアフリカ豚熱(ASF)がまん延したことにより19年の豚飼養頭数は18年比で3割近く減少した。20年以降、ビル養豚
(注2)の急速な普及による生産効率の向上などで豚肉生産量が回復し、18年以前より増加する一方、景気後退により消費が低迷したことなどから、豚肉価格は急騰した後、急速に下落した。これを受けて、中国農業農村部は21年8月、国家発展改革委員会、財政部、生態環境部、商務部および銀行保険監督管理委員会と連名で「養豚産業の持続的で健康的な発展の促進に関する意見」を発出し、翌9月には「豚生産能力管理調整方策(暫定)」を制定、公表した。これによって、現在も続く母豚の飼養頭数を軸とする豚の生産調整が始められた。
2021年9月に初めて策定された方策以降、24方策、そして今回の26方策に至るまで、生産調整の枠組みは一貫して母豚の飼養頭数を主要な指標とし、飼育頭数が前の月に比べてどの程度増減したのかを変化率として観測し、その率に応じて政策措置を講じてきた。法制度ではないため罰則はないものの、養豚業界の協力を得てかなり厳格に運用されている。
この生産調整の軸となる母豚の飼養目標頭数を、26方策は3750万頭程度に引き下げた。21年当初は4100万頭程度、24年の24方策では3900万頭程度であった。また、26方策公表前の3月に農業農村部の案として報じられた見直し頭数は3650万頭程度であった。
(注2)中国で進むビルでの養豚については、「中国の養豚をめぐる動向と大規模化を担う「ビル養豚」の現状」(『畜産の情報』、2025年4月号)をご参照ください。