各社の上げ幅にはバラつきがみられるものの、乳業大手の中では豪州ラクタリス社が最も高い乳価となる乳固形分
(注2)1キログラム当たり9.30豪ドル(1080円:1豪ドル=116.12円
(注3))を提示した。同社は本年3月にニュージーランドのフォンテラ社の豪州を含むグローバル消費者向け及び関連事業群であるメインランド・グループの買収
(注4)を完了しており、買収後の豪州事業であるメインランド・デイリー向けには異なる乳価が提示されている。業界最大手となった同社は、競合他社を上回る乳価水準を提示することで、集乳量の拡大を目指していると報じられている。
(注2)乳固形分とは、乳脂肪分および無脂乳固形分(たんぱく質、ミネラルなど)を指す。豪州の乳固形分ベースの価格体系では、乳固形分のうち乳脂肪と乳たんぱく質の含有率によって単価が決定する。
(注3)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2026年5月末TTS相場。
(注4)詳細は「フォンテラ社、消費者向け事業などの仏ラクタリス社への売却に合意(NZ)」をご参照ください。
主要な酪農地帯であるビクトリア(VIC)州の業界団体VIC州酪農家連合(UDV)のビリング副会長は、「VIC州南西部などの主要地域における生産コストが乳固形分1キロ当たり8.80豪ドル(1022円)にある中、今回提示された乳価では安定した利益確保が困難な経営状況となる」と警告した。一方、豪州酪農家連盟(ADF)のベネット会長は、乳業各社もコスト高により苦しい経営環境にあると考えれば、今回の当初乳価は控えめながら歓迎すべき水準であるとし、「サプライチェーンの各部門で利益を分かち合う余裕はほとんどない。これから新年度の開始まで酪農家と乳業各社との乳価交渉は本格化するが、酪農家は飼料コスト、人員配置、生産目標の見直しなど、自らの経営を冷静に捉え、最善の決断をする必要がある」とコメントした。
業界団体デイリー・オーストラリアは、中東紛争によるコスト高は生産見通しの大きな下振れリスクであるとして、26/27年度の生乳生産量は2%減少すると予測している。また、豪州気象局(BOM)は今後数カ月でエルニーニョ現象による高温乾燥が発生すると予測しており、天候面も酪農家の先行き不透明感を高める大きな懸念材料となっている。