中国農業展望報告(2026-2035)を発表(飼料編)(中国)
中国農業農村部は2026年4月20日、今後10年間の農畜産業を展望する「中国農業展望報告(2026−2035)」を発表した。今回は25年の総括と35年までの農畜水産物の生産量や消費量の見通しが報告された。
本稿では同報告のうち、飼料について紹介する。
1 2025年の飼料需給動向
2025年の飼料生産量(注1)は、3億4225万トン(前年比8.6%増)とかなりの程度増加し、過去最高値を記録した(表)。内訳を見ると、濃縮飼料(注2)(1338万トン、同3.4%増)はやや、配合飼料(3億1946万トン、同8.8%増)およびプレミックス(注3)(753万トン、同8.3%増)はかなりの程度、いずれも増加した。
(注1) 配合飼料、濃縮飼料、プレミックスの生産量の合計。
(注2) たんぱく質、ミネラル、飼料添加物を混合したもの。
(注3) 配合飼料の原料として不可欠なビタミンやミネラルなどの微量成分をあらかじめ混合(プレミックス)したもの。
飼料の消費量は、養豚や肉用家きんの堅調な生産を背景に、3億3933万トン(同8.6%増)とかなりの程度増加した。仕向け先別では、養豚向けが1億6389万トン(同15.9%増)とかなり大きく、肉用家きん向けが1億154万トン(同3.5%増)とやや、いずれも増加した。さらに、採卵用家きん向けが3197万トン(同1.9%増)、反すう動物向けが1445万トン(同1.8%増)、水産向けが2341万トン(同2.7%増)といずれもわずかに増加した。
また、25年は、養豚企業上位30社の市場シェアが40%近くに達し、肉用家きん企業上位10社の市場シェアが約45%に達するなど、畜産業の大規模化・集約化が進展している。この結果、高効率で低コスト、持続可能な飼料開発にますます注力しており、動物栄養管理の重要性が増しているとしいている。
飼料原料の輸入量は、中国国内の飼料穀物価格が比較的低い水準を維持したことや関税の影響により米国産飼料が減少したことなどから、前年を下回った(図1)。エネルギー源となる飼料原料(トウモロコシや大麦、こうりゃんなど)の輸入量は、1762万トン(同52.1%減)と大幅に減少した。このうち、トウモロコシは265万トン(同80.6%減)、大麦は1042万トン(同26.8%減)、こうりゃんは454万トン(同47.5%減)と、いずれも大幅に減少した。
たんぱく源となる飼料原料(大豆かすや菜種かす、魚粉など)の輸入量は、461万トン(同1.9%減)とわずかに減少した(図2)。一方、大豆および菜種(注4)の輸入量は1億1421万トン(同6.2%増)と、かなりの程度増加した。
(注4)大豆や菜種は、国内で搾油し、その残渣(大豆かす、菜種かす)を飼料として利用する。
飼料原料全体の主な輸入先を見ると、ブラジル、米国、アルゼンチン、カナダ、豪州、ロシアおよびウクライナの7カ国で輸入量全体の92%を占めた。このうち、ブラジルからの輸入が59.3%(同11.2ポイント増)を占めた一方で、米国からの輸入は13.0%(同5.4ポイント減)を占めた。
飼料の年間平均価格は、飼料原料価格の下落を受け、養豚向けが1キログラム当たり3.39元(81円:1元=23.82円(注5)、同4.2%安)、肉用鶏向けが同3.51元(84円、同3.8%安)、採卵鶏向けが同3.23元(77円、同3.9%安)となった。
(注5)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2026年5月末TTS相場。
2.2035年までの飼料需給動向予測
2026年の飼料の生産量および消費量は、家畜飼育の工業化、大規模化が進んでおり、配合飼料の使用割合が増加すると見込まれていることなどから、3億4382万トン(前年比0.5%増)および3億4131万トン(同0.6%増)と、いずれもわずかな増加が見込まれている(表)。また、飼料価格は、主要生産国での堅調な生産による供給増と中国国内の穀物生産能力の継続的な向上を背景に、緩やかな下落が見込まれている。
長期的には、中国国内の飼料原料の生産技術や供給能力の上昇が見込まれていることで、35年の飼料生産量は4億1026万トン(年平均2.4%増、基準期間比<23〜25年の平均値からの増減率>25.7%増)、消費量は4億723万トン(年平均2.4%増、基準期間比26.7%増)と予測されている。また、飼料価格は、飼料原料自給率の向上や家畜・家きんの飼養規模の安定化に伴い飼料需要が徐々に減少するとみられことなどから、下落すると予測されている。
今回の展望報告では、前年と同じく飼料原料の輸入量についての展望は示されていない。ただし、国内のトウモロコシと大豆の単収向上や飼料作物の品質向上、たんぱく質飼料資源の有効活用により、飼料原料の自給率が向上することで、輸入依存度は徐々に低下すると見込まれている。
今後の見通しに関し留意すべき事項として、1)国際的なサプライチェーンに影響する政治的もしくは軍事的な諸課題に関するリスク(紛争の影響を受けた主要航路からの迂回など)、2)技術革新の進展状況(技術開発し、産業転換をするまで)、3)世界的な天候不順、4)家畜疾病、5)米国との貿易摩擦−などが挙げられている。
【田中 美宇 令和8年6月25日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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