NWSは、牛をはじめ家畜、野生動物、愛玩動物、そして、まれに鳥類やヒトにも寄生する可能性がある。NWSは、動物の傷口などに卵を産み付け、幼虫が動物の組織へ寄生することで宿主に被害を与える。多数の幼虫が寄生した場合は致死的な影響があるなど、家畜に深刻な被害を与え、もたらされる経済的損失は大きい。このため、米国では1957年から不妊化ハエを活用したNWSの撲滅対策が講じられ、66年には米国全土で根絶され、91年にはメキシコにおいても根絶が宣言された。その後、2016年10月にフロリダ州でNWSが確認されたが、17年3月には再び米国から撲滅された。
24年11月、メキシコ当局はグアテマラ国境に近いチアパス州でNWSが検出されたことを発表しており
(注)、その後メキシコ内において検出エリアの北上が続いていた。
(注)詳細については海外情報「米国農務省、メキシコからの生体牛輸入再開に関する手順書に署名(米国)」(令和6年12月26日発)も併せてご参照ください。
米国においては、メキシコからのNWS侵入防止のため、生体牛の輸入を停止するとともに、発生に備えマニュアルの整備や、家畜や愛玩動物向けの寄生虫対策のための動物用医薬品の緊急承認などを実施してきた。マニュアルには害虫の管理(ペストコントロール)やNWSに対する監視・防除方法などが記載されており、随時改正がなされている(図1)。米国は24年まで毎年100万頭以上の生体牛をメキシコから輸入していたため、NWS発生に伴う生体牛の輸入停止は、米国内での牛肉生産量の減少につながり、メキシコからの牛肉輸入量の増加にもつながっていた。