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中国農業展望報告(2026-2035)を発表(野菜編)(中国)

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最終更新日:2026年6月30日

 中国農業農村部は2026年4月20日、今後10年間の農畜産業を展望する「中国農業展望報告(2026−2035)」を発表した。今回は25年の総括と35年までの農畜水産物の生産量や消費量の見通しが報告された。
 本稿では同報告のうち、野菜について紹介する。

1.2025年の野菜需給動向

 2025年は、作付面積が2398万6000ヘクタール(前年比2.0%増)とわずかに増加し、上半期を中心に主要生産地域の気候条件が全体的に恵まれ野菜生産が順調であったことから、生産量も8億8230万トン(同2.5%増)とわずかに増加した。
 施設野菜の生産が着実に伸びている中、山東省や河南省などの伝統的な主産地の生産が引き続き順調であることに加え、西南部や北西部などの新興産地で作付面積が拡大していることが、年間を通じた安定的な野菜生産に大きく寄与している。
表
 輸出量は、1593万トン(同6.4%増)とかなりの程度増加したものの、為替変動や輸出単価の低下により輸出額は167億6500万米ドル(2兆6889億円:1米ドル=160.39円(注1)、同10.2%安)とかなりの程度下落した。このうち、主要輸出品目であるにんにく(乾燥品および加工品を含む)は、野菜輸出総量の16.7%を占め、次いでトマト(加工品を含む)が8.8%、ばれいしょ(加工品を含む)が8.7%となった。
 消費量は、6億4660万トン(同2.2%増)とわずかに増加した。健康志向の高まりから、消費者は野菜から栄養を摂取する傾向が強まっている。このうち、生鮮野菜消費量は2億8586万トン(同2.5%増)と全体の44.2%を占めている。また、加工用野菜の消費も継続的に伸びてきており、1億4879万トン(同2.7%増)と23.0%を占めた。
 価格面では、主要野菜28品目(注1)の全国平均価格が1キログラム当たり4.96元(118円:1元=23.82円(注2)、同5.5%安)と前年をやや下回った。年間の価格変動は、例年の季節的な変動に基づいたもので、価格は基本的には安定的に推移した。具体的には、上半期は全国的に気候条件が良く野菜生産が増加したことから、価格は下落し5月が年間の最低値となった。しかしながら、6月以降は、例年を上回る降雨量や高温多湿により、生産が不足気味となり価格は上昇した。この傾向はその後も続き、冬季の施設野菜の生産コスト上昇などもあり、12月に最高値に達した。

(注1)主要野菜28品目:中国国内で消費される野菜のうち、国が定期的に価格調査を行っているだいこん、にんじん、たまねぎ、れんこん、にんにく、しょうが、ばれいしょ、山くらげ、ほうれんそう、はくさい、ねぎ、セルリー、レタス、にら、キャベツ、チンゲンサイ、カリフラワー、花にら、とうがん、レンズマメ、きゅうり、かぼちゃ、なす、ピーマン、トマト、ズッキーニ、ひらたけ、しいたけの28品目。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2026年5月末TTS相場。

2.2026年の野菜需給動向予測

 2026年の生産量は、安定した主産地のインフラ整備や、他品目に比べて野菜栽培の収益性が比較的高いことなどから、8億8540万トン(前年比0.4%増)とわずかな増加が予測されている。
 輸出量は、1695万トン(同6.4%増)とかなりの程度増加が予測され、輸出が輸入を大幅に上回る状況が維持されるとみられている。
 消費量は、引き続き安定的な増加が見込まれることで、6億5028万トン(同0.6%増)とわずかな増加が予測されている。
 価格面では、25年下半期の価格が高水準で推移したことにより生産者の増産意欲が高まり、作付面積が拡大し野菜生産が増加する一方、健康志向による消費の増加も見込まれることから、1キログラム当たり4.80〜5.00元(114円〜119円)と前年並みが予想されている。ただし、気候条件の変化により、価格変動の可能性も指摘されている。

3.2035年までの野菜需給動向予測

 今後の野菜生産については、流通側で情報技術の急速な発展に伴う電子商取引(Electric Commerce:以下「EC」という)、共同グループ購入、直接販売などさまざまな取引形態が行われている中で、1)品質や安全性の向上、2)効率化、3)供給量確保、4)価格安定-を中核目標として、生産施設や設備の改修、生産構造の最適化・転換、生産の高度化を更に推進するとしている。具体的には、スマート農業への転換を一層推進し、生産の標準化と最適化を図りながら、高品質かつ効率性の高い野菜生産を目指すとともに、環境に配慮した防除や有機生産なども行うとしている。以上の取り組みを推進することにより、2035年の生産量は8億9787万トン(基準期間比<23〜25年の平均値からの増減率>4.7%増)に達すると予測されている。
 輸出量は、世界経済・貿易情勢の変化、地政学的状況の変化が予想されるが、生産力の拡大と併せて、引き続き生産コストや気候条件の優位性を確保することで、着実に増加することが見込まれている。施設農業の整備の進展および低温物流(以下「コールドチェーン」という)の迅速化などにより、35年には2017万トン(同37.0%増)になると予測されている。野菜の主要輸出先は日本、韓国、米国、ASEAN、EUなどであり、輸出主要品目はにんにく、きのこ類、トマト、しょうが、とうがらしなどが見込まれている。
 消費量は、高鮮度、高品質な野菜の消費需要が今後も伸びていくとされ、35年には6億6845万トン(同6.1%増)に達すると予測されている。具体的には、1)健康志向の高まりによる機能性野菜や有機野菜の需要増加、2)都市化の進展や人口構造の変化による下処理済み野菜や即食野菜(注3)の需要増加、3)施設生産やコールドチェーンなどの技術発展による野菜の流通段階でのロス率低減を図る中で、ECなどの消費チャンネルの拡大-などにより消費が伸びていくとされている。
 価格面では、スマート農業の推進などにより野菜供給量は全般的に安定すると見込まれている。一方で、1)健康志向や高品質化志向の高まりなどによる野菜生産のブランド化、機能化、多様化・多角化、2)農地、人件費、生産資材などの生産コスト上昇-などにより、価格は季節的変動を繰り返しながら、ある程度上昇すると予測されている。

(注3)水や火を使う本格的な調理を不要とし、そのまま食べることができる状態の食品(カット野菜)。
 
【調査情報部 令和8年6月30日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-9532