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酪農分野でも季節農業労働者ビザプログラムの活用が可能に(米国)

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 米国国土安全保障省(USDHS)および米国労働省(USDOL)は2026年6月17日、季節農業労働者ビザプログラム(H−2A)に関する新たな指針を発表した。本指針により、酪農分野においてもH−2Aが活用可能となることが明確化されたことから、酪農業界における労働力確保につながることが期待される。

1.H−2Aと今般発表された指針の概要

 H−2Aは、米国の農業分野における季節的または一時的な労働力不足を補うための外国人労働者向けの就労ビザ制度である(注1)。米国の農業では人手不足が慢性化しており、特に野菜や果実などの青果物の収穫期において、必要な労働力を確保する手段としてH−2Aが活用されている(図)。農業雇用主は米国内で十分な労働者を確保できない場合に限り、外国人労働者を最長10カ月程度雇用することができる。2025年度(24年10月〜25年9月)では、約39万8000件のH−2Aビザの申請が承認された。
図 季節農業労働者ビザプログラム(H-2A)を活用する分野と主な州
(注1)米国における農業分野の労働力およびH−2Aについては、『畜産の情報』2025年8月号「米国の農業分野の労働力をめぐる情勢と連邦政府などにおける取り組みの動向」も併せてご参照ください。

 
H−2Aは季節的または一時的な農業外国人労働者向け制度であるため、畜産分野においては、放牧地におけるヒツジやヤギの飼養管理など季節によって一時的に労働力需要が変動する一部の畜種で活用されている一方で、酪農は年間を通じて労働力の需要が大きく変動しないとされ利用できない状況であった。なお、H−2A以外にも一時的非農業労働者ビザプログラム(H−2B)が存在し、酪農のほか畜産関連産業である食肉処理場などでの活用が可能となっている(注2)が、米国全体で年間の発行上限(6万6000件)が定められているとともに、一般的に申請から承認までの期間はH−2Bの方がかかるとされている。
(注2)H−2Bでは、H−2Aとは異なり有効期間は1年である。更に、延長することによって米国籍以外の労働者を最大3年間招へいすることが可能。
 これまで、H−2Aの活用について、酪農分野であることを理由に申請が却下される状況であったが、今般発表された指針では、酪農においてもH−2Aの対象となり得る季節的または一時的な労働力不足が生じる可能性があることが明記された。例えば、飼養している乳牛の分娩時期を一定期間に集中させて管理している場合は、H−2Aの活用について承認され得るとされた。労働力不足が季節的または一時的であることは雇用者がH−2A活用の申請時に証明する必要があり、米国農務省(USDA)は、本指針に基づき酪農場においても他の業種と同様に、個別の審査を受ける事が可能となるとしている。

2.業界の反応と今後の米国内での労働力確保に向けた動き

 全米生乳生産者連盟(NMPF)は、「酪農業界はかねてよりH−2Aプログラムの利用拡大を求めてきた。この指針は、酪農家が本制度を利用開始するための道を開く一助となるだろう」と、賞賛するコメントを発表した。また、国際乳食品協会(IDFA)およびアメリカン・ファーム・ビューロー・フェデレーション(AFBF)は、本指針を歓迎するとともに更なる労働力確保に向け解決を求めるコメントをそれぞれ発表した。
 H−2Aの活用範囲の更なる拡大の動きとして、2026年7月、米国連邦議会の下院農業委員会において、農業労働力確保法(Securing Agriculture's Workforce Act)が提出された。同法案は、食肉・食鳥処理業などの畜産関連産業においてもH−2Aを活用できるよう見直すことを目的としており、契約期間の柔軟化や事務手続きの簡素化なども盛り込まれている。米国では今後も畜産業や食肉加工業を含めた農業分野全体で、外国人労働者の受け入れ拡大を通じた労働力確保に向けた取り組みが継続すると考えられる。
【調査情報部 令和8年7月15日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-9532